ばかうけ

※風俗店ネタです。
※男でも普通に雇われています。
※ただただおっパブネタが書きたかった。

バ→風俗店に興味はなし。仕事の付き合いで初めておっパブへ。
獏→学費のためにおっパブで働き始めた。期待のニューフェイス。顔採用。


バクラが取引先の中年男と訪れたのは派手なネオンが灯る歓楽街だった。
昼間は活気溢れる商業地として知られているが、夜になればあっという間に姿を変える。艶やかな夜の蝶たちがヒラヒラと飛び回っては男たちを惑わせる。
居酒屋で酒が入り、上機嫌になった中年男がビール腹を擦りながら、「いい店があるんだが、この後行かないか」と言い出した。
好色親父として知られているこの男が誘ってくるからには、十中八九風俗店だろう。こういった誘いは営業にとって珍しいことではない。上客である男との繋がりをもう一歩深めたいバクラには好機だった。
男には存分に楽しんでもらって、自分の方は付き合い程度に済ませばいいのだから安いもの。男が捻れた趣味を持っていなければの話だが。そこまで付き合う義理はない。
男に導かれて辿り着いたのは、カラフルな看板が並ぶ雑居ビル。
その中からお触り可能な接待型飲食営業店――俗にいうセクシーパブを男は指差した。
風俗営業法上、セクシーパブはクラブなどと同等の店にはなる。異なるのは接客員との接触が認められていること。接触といっても、あくまで軽いお触り程度。性的サービスはなし。
店によってルールは変わってくるものの、本番行為などはもっての外。そして、この店は「おっぱいパブ」にあたる。
狸面には似合わない初心者向きの選択に、バクラは拍子抜けをした。てっきりヘルスやソープへ連れて行かれるものだと思っていたのだ。
「こういう店の方が可愛い子がいるんだよ」
男は目尻を下げてバクラに耳打ちをした。
「はあ……」
風俗店の世話になることのないバクラには初耳の持論だった。
あれやこれやと遊んで行き着いた先がこういった店なのだということなのだろう。
年長者には素直な姿勢を見せるのが一番。
バクラが頷いて見せると、男は一層笑みを深くした。
店内は一般的なクラブとほとんど変わらなかった。
受付の説明によると、基本は接客員との会話とアルコールを楽しむ店で、二十分ごとに「サービスタイム」が設けられている。その間だけ上半身に限り触れ合いが可能、キスもその範疇、下半身は法令に違反するため互いに触れてはいけない、とのことだった。
男は一時間コースで入店手続きをした。料金はフリードリンク制で六千円。クラブと比べてみても破格の値段だ。勿論、店内でオーダーをすれば加算されていく。
通されたフロアは、オレンジ色の間接照明が灯り、非日常的な雰囲気を演出していた。
ボックス席が配置され、ソファという仕切りがあるものの、開放的な作りとなっている。
完全個室でないのは、過激なサービスを避ける意味合いもあるのだろう。接客員に何かあれば黒服が飛んで来るに違いない。
バクラと男はそれぞれ別の席に通された。ソファに座り、ドリンクを注文して待つ。
男の席にはすぐに接客員がやって来て、サービスタイムでもないのにべたべたと身体を撫で始めていた。
気の早いことだと、バクラは冷めた視線を投げかける。少しくらいの悪ノリはルール違反ではないのだろう。常連ということもあるのかもしれない。接客員は嫌がるどころか、楽しげな声を上げている。
そのうちに黒服がバクラの元へグラスを持ってやって来た。
「お客様、今回が初当番となる新人でもよろしいでしょうか?割引させていただきますよ」
新人だろうが、ベテランだろうが、バクラには関係はなかった。目的は取引先の男を満足させることにある。店の雰囲気によっては酒だけ飲んで帰るつもりだった。
「構わない」
バクラがそう答えると、黒服は深々とお辞儀をしてから後ろに下がった。
入れ替わりでやって来た接客員はか細い声で、
「……初めまして。リョウです。よろしくお願いします」
随分と緊張しているなと一瞥しようとして、バクラの目が接客員にそのまま釘づけになった。
汚れのない真っ白な髪と肌、端正な顔立ち。どことなく世間擦れをしていないような雰囲気。
衣装は胸元が大きく空いたミルクティー色のベビードールにショート丈のフレアパンツ。どちらも裾にたっぷりとレースがあしらわれている。
身体のラインは衣装の上からでは分からないが、剥き出しの手足はほっそりとしていた。
黒目がちの大きな瞳はバクラの方を辛うじて向いているものの、不安げに揺れている。
店に入る前に男が言っていた「こういう店の方が可愛い子がいるんだよ」という言葉をバクラは思い出していた。
「失礼します……」
リョウは断りを入れると、遠慮がちにバクラの隣に座る。隣といっても、接客するつもりがあるとは思えないほどの微妙な距離が空いていた。その上、リョウの手足はかちこちに強張っている。
新人とはいえ、緊張のしすぎではないか。騒がしい接客員と比べてマシではあるが、どうしたものかとバクラがグラスに口をつけていると、
「あの……、僕、こういうお店で働くこと自体初めてで……。至らないことがあったら、すみません」
まるで雨に打たれる子犬。リョウは精一杯のぎこちない笑みを浮かべた。本人は気づいていないのだろうが、庇護欲もしくは嗜虐心を誘う表情だった。
バクラはリョウのためにカクテルの注文を入れた。これはフリードリンクには含まれない。接客員に対する礼儀だ。いくらかのキャッシュバックがリョウの元に入るはず。
二人分のグラスが並んだところで、バクラはリョウに質問を投げかけた。
「どうしてここで働こうと思ったんだ?」
リョウは少しずつ身の上を話し始めた。
学費のためにアルバイトを掛け持ちしていたところ、友人から効率よく稼げるところがあると紹介されたという。
飲食店の接客ということで、リョウはてっきり居酒屋か何かだと思い込んでしまった。
詳しい説明を聞いたときには仰天したが、それまで抱いていた風俗のイメージよりもずっと透明性が高い店で、給料も充分。
これなら今までアルバイトに費やしていた時間を勉強に充てられると飛びついたのだ。
「それならクラブでも良かったんじゃねえの?」
「ノルマが厳しいし、お客さんを喜ばせる話術なんて僕にはないし。こういうお店は歩合制じゃなくて時給制だから、お給料も安定しているんだ。それに、す、少し触られるくらいなら……大丈夫かなって」
バクラから見てもこの店の雰囲気は悪くはない。
きっと荒れた店なら、本番行為を強いられることもあるだろう。その点では運が良かったに違いない。
問題は、世間知らずのお坊っちゃんがいきなりセクシーパブという未知の世界に飛び込んでしまったことだ。
子猫がライオンの群れに放り込まれるようなもの。いくら優良店でも客が暴走することだってあるだろう。
バクラは苦学生の身の上に理解は示しても同情などはしない。自分で選んだのだから、すべては自己責任。
気乗りのしない来店だったが、ここに来てリョウに興味が湧いてきた。
何の知識もないまま風俗業界で働こうとするとは面白い逸材だ。大人しそうな外見とのギャップもいい。
当たり障りのない会話を続けて緊張が解けてきたのか、リョウの表情が徐々に和らいでいった。
「君も童実野町に住んでるの?僕もなんだ!」
リョウがやっと無邪気な笑顔を見せたとき、店内の照明が暗くなり、明るい曲が大音量で流れ始めた。よほど近くに寄らないと会話もままならない。
同時に店内の接客員が次々と対面する形で客の太ももに跨がり始めた。
その上、上半身だけ衣服を脱ぎ去り、見せつけるように惜しみなく乳房を曝け出す。
これが予め説明のあったサービスタイムらしい。
――うるせえ……。
バクラが耳の穴に指を突っ込んでいる隣で、リョウは再び硬直していた。明かりが充分であれば、真っ赤に染まった顔が拝めたことだろう。
残念ながら、落ち着くまで待ってやれるほど、バクラは優しくない。自分の太ももをぽんぽんと叩いて見せた。
「あ……。じゃあ、失礼して……」
細い腰がバクラの上におっかなびっくり下ろされる。
リョウはぎこちない仕草で肩ストラップを落とした。
両手で胸元を押さえたままで、素肌はまだ隠されている。
「こんなふうに身体を見せるのも……初めてだから……男でも恥ずかしい……」
重ねた手が小刻みに震えている。
リョウは深く息を吸い込んでから、意を決したように両手を離した。
重力に従ってトップスが腰の辺りまで落ちる。
薄い布の下から現れたのは、淡い色の小さな突起だった。羞恥心からか、外気に触れたからか、先がツンと上向いている。
胸にはなだらかな傾斜がある。全体的に肉づきが少なく、簡単に折れてしまいそうだ。
バクラは僅かな膨らみを両手で下から押さえた。
「……ぁ」
女のものと違って弾力はない。指の腹で突起の周りをそっと撫でる。
「んっ……」
親指と人差し指で中央を摘み上げると、リョウがびくんと背中を反らした。
「ん!」
そのままクリクリと小粒を弄ぶ。
「は……ふっ……ぁ……」
指の間で二つが膨らんで硬さが増していく。時折、先端を擽るように撫でると、びくびくと身体が震えた。
客に絡みつく他の積極的な接客員とは違い、リョウは及び腰だった。本能的なものなのか、快楽から逃げようとしているようだった。
バクラはやや乱暴に腰を引き寄せ、片方の突起を口に含んだ。
「あっ、や……っ、ん」
ちろちろと舌で撫で回したり、押し込んでみたり、勢いよく吸ってみたり。
甘噛みをすると、リョウは嬌声を上げた。どうやら、少し強くされるのが好きらしい。
「ンッ、ンン、ふあ……」
先ほどまでの緊張はどこへやら、リョウはバクラにしがみついていた。
腰を揺らし、悩ましげな声を上げ、太ももでバクラの腰を逃さないと言わんばかりに挟む。
「初めてとは思えないなァ」
バクラは耳元で囁きながら、ささやかな乳房をぷにぷにと揉んだ。
二つの突起は今やすっかりコリコリと白い肌の上で主張している。さらに唾液が滴り、卑猥に誘っているかのよう。
ごくりとバクラの喉が鳴った。下半身は痛いほどに強張り、リョウの内股を擦っている。
腰に巻きついているトップスのせいで確認はできないが、可愛らしいフリルとレースの下で男の象徴でもある硬い感触が微かに触れる。
その光景を思い浮かべるだけで、バクラの熱も上がっていく。どんな形をしているのだろうか。もう濡れているのだろうか。
下半身には決して触れていけない。行き場のない熱がもどかしい。同時にどうしようもなく気分が昂る。
バクラはリョウの内股に向かって腰を突き上げた。
「アッ!」
そのままぐりぐりと押しつける。
「あふっ、んっ、くぅ……」
リョウの泣き声に甘ったるい響きが広がる。
二つの熱がぶつかり合って劣情へと変わる。
音楽が周りの雑音を隔てて、ここにあるのは二人だけの世界。互いが夢中になって求め合う。 本能のままに身体を押しつけ合っていると、再び明かりが点いた。
無粋な明かりのせいで元の世界へと引きずり戻されてしまう。
リョウは名残惜しそうにバクラの膝から降りた。
二人の身体が離れたところで、再びやって来た黒服が手を擦りつつ話しかける。
「当店の新人はいかがでしたか?接客員の交代時間となりますが、このままご指名も可能です」
バクラに断る理由はない。もう一杯リョウのためにドリンクを頼むと、黒服は恭しくお辞儀をした。
サービスタイムはあと二回。
リョウは肌を見せたことで吹っ切れたのか、会話中も膝が触れ合う距離にまでなった。
大学の勉強内容、趣味であるボードゲームについて、近所にある美味しい飲食店など。
明かりが落とされれば、和やかな会話から濃厚な触れ合いへと移る。
二人は非現実的な空間に酔いしれた。
「はぁ……ぁン、ンッ、そんなに吸っちゃ……ぁ」
はち切れそうな欲望を抑え、許される限り身体を擦り寄せる。
耳たぶを優しく噛み、首筋に痕をつけ、脇腹を擽る。リョウはその一つ一つに反応を見せた。
互いのことはほとんど知らないくせに、身体のことだけは手に取るように分かる。
恋人でもないのに、恋人のように抱き合う。
「初めてのお客さんが君で良かった……」
最後にリョウはバクラにキスをした。

基本料金、接客員へのアルコール代、指名料――すべて合わせて八千円(税+サービス料抜き)。
男の料金が一万を超えていることから、黒服の言った通りにしっかりと割り引かれているようだ。
同行した男は「いい店だっただろう」と口を開けて笑った。
バクラはそれに頷いたところで、シャツの胸ポケットに何かが入っているのに気づいた。
新品の名刺が一枚。
書かれた名前を確認すると、小さく笑って再びポケットにしまいこむ。
柔らかい感触は唇に残ったまま。確かにいい店だった――。

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常連決定。現代版花魁みたいな。

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