始まりは一つの願いからだった。
近々M&Wの大規模な大会が開催される。五人一組のチーム戦になるということで、今までにない組み合わせが見られるのではと話題になっている。
プロデュエリストを目指す城之内は大会に出場すると張り切っていたのだが——。
*****
「あー!なんでよりにもよってチーム戦なんだ!」
休み時間の教室で城之内は頭を掻きむしって喚く。
「今回は諦めたらどうなんだ城之内。どうせすぐ次の大会をやるだろ」
友人たちは半ば呆れ顔でそれを見ていた。
「海馬のやろうにバカにされるのが目に見えてる!それだけは許せねえ!」
そう言って城之内は握りこぶしを作って明後日の方向へ吠える。
城之内が集められたメンバーは、遊戯、アテム、舞の計四人。あと一人足りない。しかも舞はチーム戦に重い腰のところを拝み倒し、「メンバーを集められたら」という条件つきだ。
本田や杏子は市役所に登録したデッキは所有しているものの、強豪の集まる大会に出場する実力もやる気もない。城之内は頭を抱えていた。
獏良は城之内が喚いているのを他人事として見ていたが、突然視線を向けられて両肩を持ち上げた。そこへ人差し指を突きつけられる。
「そうだ!いるじゃねえかッ!もう一人!」
*****
——絶対無理だよ……。
獏良は家に帰り、制服から私服に着替えながら苦悩していた。
城之内が白羽の矢を立てたのは、獏良の片割れ——千年リングに宿っていた盗賊だった。今は因縁と方をつけ、普通の人間として余生を過ごしている。行く場所がないので、見張り役を名乗り出た獏良と暮らしている状態だ。それからは憑き物が落ちたように大人しくなり、獏良とは上手く共同生活を送ってはいるが……。
——僕の言うことなんか聞くわけないじゃないか……。
性格が簡単に変わるはずもなく、依然としてバクラは一匹狼のままだ。人助けなどするはずもない。好きでゲームをやっていたわけではないことも獏良は理解している。
——そりゃ、M&Wも強いだろうけどさ……。
かつては町全体を使った大会の決勝にも進出した実力はある。しかし、一緒に暮らし始めてからカードに触れている姿を獏良は一度も見たことがなかった。あくまでM&Wは手段だったのだろうことが窺える。
獏良は暮らしを共にする上でバクラに好意を抱かれている自覚はある。しかし、頼み事を聞いてくれるかはまた別の話だ。ノーと言えば絶対にノーという性格だから望みは薄い。しかも、宿敵だったアテムと同チームとなれば、絶望的だろう。
獏良は重い溜息をつき、自室からリビングに出た。
話題の主はテーブルに模型を広げ、目を細めてピンセットで細かいパーツを接着していた。共に暮らし始めてから獏良の趣味に影響を受けている。一人用のボードゲームが揃っているから、獏良が学校に行っている間はそれをやっていることをあるようだ。二人でいるときは二人用のTRPGで遊ぶことある。
「一合半、飯炊いといた」
パーツを凝視しながらバクラが言う。
「ありがとう」
どのように話を始めるか。獏良はエプロンを身につけ、冷蔵庫の中を覗く。玉ねぎと豚肉のパックの残りが目についた。
「しょうが焼きでいい?」
「んー」
本題に入ることができず、獏良は夕飯作りを始める。にんにく一欠片と玉ねぎ半分を千切りにしていく。フライパンで食材を炒めながら、バクラへの話の切り出し方を考えた。悩んでいるうちに自分でも美味そうな夕飯が仕上がっていく。腹を満たしたタイミングにするか、と決めた頃には部屋ににんにくの食欲をそそる香りが広がっていた。
「相変わらず美味そうだな」
皿にはメインのしょうが焼き、作り置きの人参の甘酢漬け、レタスとプチトマトが乗っている。しょうが焼きには片栗粉がまぶしてあり、ソースが絡んで食べ応えがよくなっている。実家住まいのときから鍵っ子だった獏良は簡単な料理から始め、今では自炊に困ることはなくなった。
「ありがとう」
獏良は皿に手をつけず、ぱくぱくと食べ進めるバクラの顔色を自然と窺ってしまう。基本的に笑顔を作らないから表情を読むのが難しい。機嫌は悪くないとは思う。とにかく食事が終わってから会話を切り出すのだ。そう決意して箸を動かし始めた。
「で、何かあったか?」
「えっ」
獏良が食べ終わった食器を片づけ、食後の茶を注いでいるとバクラの方から口火を切った。思わずペットボトルを傾けながら目を丸くする獏良に、
「溢す!」
と制止の声がなければテーブルの上が大惨事になるところだった。
獏良は謝りつつ眉尻を下げて、「どうして分かったの?」と問いかける。まだ話を始めてすらいない。
それを聞いたバクラは「やれやれ」とでも言うように肩を竦める。
「ずっとチラチラこっちの様子を窺ってただろ?指摘して欲しいのかと思ったが……。無意識かよ」
その言葉に獏良の頬が赤く染まる。視線も居心地悪そうに下を向く。
「何か頼み事でもあるのか?」
バクラは真摯な態度で獏良を見つめる。昔なら考えられない姿だ。一縷の望みがあるかもしれない。獏良は恐る恐る事情を説明し始めた。
「却下だ」
「うっ……やっぱり」
返答は無慈悲なものだった。話し終えてコンマ一秒で否定の言葉が迷いなく返ってきた。
「何の話かと思えば、城之内の頼みだぁ?何の義理があってオレが力を貸すんだよ」
バクラは不機嫌そうに鼻を鳴らす。それから小指を耳の穴に突っ込んだ。
「オレに何の得がある?ま、お前の頼みだったら考えなくもなかったが……。オレが仲良く王様とデュエルするわけねえだろ」
獏良は消え入りそうな声でバクラを肯定するしかない。
「いや、本当にその通り……。浅はかだと思うよ」
予想がついていた結果でも面と向かって言われると落ち込む。目を伏せた獏良は一瞬だけ苦悩の表情を見せる。再び顔を上げた表情は決意に満ちていた。
「……少し待っててくれる?」
*
獏良は自室に戻り、通学鞄の横に隠すようにおいてある袋を持ち上げた。柔らかい感触が袋越しに伝わる。
城之内と押し問答を繰り返しているうちに秘策として渡されたものがあった。どうしても口説き落とせないなら使え、との指示だった。そのときまで開けるな、とも。
無地のクラフト袋。マチつきではあるが、中身は薄い。城之内の前のバイト先であるディスカウントストアの売れ残りとのことだった。こんな紙袋に入ったものでバクラを納得させられるとは到底思えない。
素直な獏良はとりあえず中身を確認する。簡単に留めてあるテープを剥がし、中を覗く。透明のビニール袋が顔を出す。それだけでは正体が掴めない。手を袋に入れて引っ張り出した。
「Sexy Costume」という文字が表には記載されている。小さく畳まれた服が入っている。が、服にしてはやけに薄い。獏良は嫌な予感がしながらも開封した。
手に取ってみると安っぽいポリエステルの服だということが分かった。小物類も入っている。
——こ、これは……。
驚くべきは、その面積の少なさ。上半身は紐のよう。下半身は恥部を隠すほどしかない。ヒップスカーフらしきものもついているが、透け感のある素材で服としての用を成すとは思えない。他にも安っぽいアクセサリーがついている。特徴的なのは幅の広い襟飾り。獏良はこれを見たことがあった。手に取って目線の高さで広げてみる。色彩豊かな美しい模様ではあるが、とても肌を隠す役割は果たせない。
獏良はもう一度商品パッケージを見た。裏側に「エジプト踊り子衣裳」と小さく記載されている。古代エジプトの壁画にほとんど裸体の女性が登場することを思い出した。友人は何を思ってこの衣裳を託したのだろうか。目眩がした。
携帯で電話をかけてみるが繋がらない。放課後はバイトで忙しくしていることが多い友人だ。すぐには捕まらないかもしれない。
獏良は紐のような衣裳を前に途方に暮れた。身につけたとして、見えてはいけない部分が見えてしまうに違いない。男なら尚更大惨事だ。そんなものは服とは言わない。第一、これを着て見せたとしてバクラが城之内の頼みを許諾するとは思えない。
獏良が戸惑っていると、痺れを切らしたのかドアの向こうから声がした。
「おい、どうしたんだ?」
「ヒッ!!」
手元には服の意味をなしていない衣裳。ドアの外にはバクラ。獏良は慌てふためいた。城之内から連絡はない。
「う……」
隠すか、着るか。焦りで思考回路が迷走する。最終的に出した答えは、「服を抱えて部屋を出る」だった。どうしようも状況なら洗いざらい告白してしまおう、という素直な彼らしい決断だった。
勢いよく開いたドアにバクラは驚いた様子だった。反射神経が悪ければドアと衝突していただろう。数歩後ろに下がって目を丸くしていた。
「どうしたんだよ?いつまで経っても出てこねーし」
「その……城之内くんが衣裳をくれたんだけど……手違いがあったみたいで……」
獏良は恐る恐る布面積の少ない踊り子の衣裳を見せる。
「さっきの話は忘れて、後日仕切り直しということで……」
バクラの反応はない。獏良が表情を窺うと、衣裳を凝視している。感情は読めない。しばらく気まずい沈黙。やがてバクラは獏良を見つめて口を開いた。
「どうせ城之内辺りがお前にこれを着て説得しろとか言ったんだろ?」
「うっ……」
「分かりやすいったらないぜ」
バクラが呆れたように首を振る。思ったよりずっと冷静な反応だ。
この反応は獏良にとって救いだった。理解してくれたお陰で事なきを得た——そう考えた。
しかし、次にバクラは意地の悪い笑みを浮かべて腕を組み、「かつて」を思わせる傲慢な口調で言った。
「着てみろよ」
——どうして僕がこんなことに……。
獏良は自室に戻り、ベッドに広げた衣裳をやるせない顔で見下ろしていた。水着よりも面積の少ない生地が頼りなげだ。
バクラは言った。「手違いじゃねえかもしれねえだろ?城之内と連絡は取れたのか?」
獏良が首を横に振り、「多分バイト中だと思う。しばらくは繋がらないかな」と答えると、バクラの唇が横に広がった。
「なら、とりあえず、着てみろよ」
——何が「とりあえず」なんだ?!
半ば無理やり部屋に戻されたところで獏良は嘆いた。城之内からの返信はないまま。ドアの外ではバクラが立っている。
頭の回転は圧倒的にバクラの方が早い。獏良がぼんやりしている間にさっさと誘導されてしまった。
バクラの真意が読めない。男にこのような服を着せて何がしたいのか。着たら満足をするのか。面倒事に巻き込もうとした仕返しのつもりか。獏良は考えながらシャツを脱いだ。躊躇いながらトップスを摘まみ上げる。慣れない手つきで頭を通す。紐のような細い布が首元で交差し、腰の辺りで後ろに回る。辛うじて胸の突起を隠す作り。
ただし、獏良は言うまでもなく男子だ。水着だっていつも水泳パンツのみ。それをあえて隠すと妙な感覚に苛まれる。まるで見られては困る部分になってしまったようだ。
次に獏良は残ったパンツに訝しげな視線を送る。クロッチらしき部分はあるものの、性器を隠すのには心許ない。
ごくりと唾を飲み込み、下着を下ろす。代わりにもたもたと衣裳のパンツを足に通す。クロッチは獏良の膨らみを優しく覆う。激しく動けば、はち切れたり、ずれたりしそうだ。じっとしている限りは間一髪隠せてはいる。ただ薄らと毛がはみ出してしまっている。助けを求めて腰巻きを巻きつけてみるが、シースルー素材が上手く隠せているとは思えない。ないよりましだろうか。
最後に恐らくイミテーションの安っぽいアクセサリー類もつけてみるが、やはりどれも身体を隠してはくれなかった。
——や……無理……。さすがに……。
自分の情けない姿を前に獏良の心が折れた。普段着に戻そうと考えたとき——
「おい、まだか?」
まるで当たり前のようにバクラが部屋のドアを開けた。
「あっ……!」
バクラは獏良に用があるときは必ずノックをする。だから獏良は油断していた。まさか、迷いなくドアを開けてくるとは思わなかった。踊り子の衣裳をすべて身につけた姿でバクラを出迎えてしまった。
バクラは足元から頭の天辺までゆっくりと視線を上げる。真顔のままの表情が読めないから得体が知れない。言葉もない。獏良にとって居たたまれない時間が続く。
「——お、おかしいよねっ!だから何かの手違いなんだって。すぐ着替えるから」
獏良はおどけた調子でその場を乗りきろうとする。本当は顔から火が出るほど恥ずかしい。さっさと着替えたかった。「さあさあ出てって」と言う前に、バクラに腕を掴まれた。
「せっかく着たのに勿体ないじゃねえか」
「え——」
バクラの言葉を理解できず、獏良はぽかんと顔を見返す。彼らしい自信に満ちた笑みがそこにあるだけ。戸惑いを感じたところで——。
強い力で腕を引っ張られる。無抵抗の獏良はよろめきながら数歩進む。そのままバクラの腕の中へ。腰巻きが揺れて微かな衣擦れの音が聞こえた。
「ちょ……っ」
獏良が驚いてバクラから離れようとすると、足に何かがぶつかる。体勢を崩し、尻餅をつく。身体が傾いたときは肝を冷やしたが、柔らかい何かが優しく受け止めてくれたお陰で傷みはない。落ち着いて確認すれば、それはベッドだった。どうやらベッドの縁に足を取られてしまったらしい。
ベッドの上に座り込む形になった獏良をバクラは見下ろしていた。ベッドは壁際に設置されている。背後にあるのはヘッドボードだ。つまり、獏良には逃げ道はない。
ぞわり——。考える前に寒気がした。見下ろしているバクラの目が肉食動物のように鋭かったからだ。
同居を始めてから安寧は保たれていた。バクラはずっと大人しくて、もしかしたらこのまま上手くやっていけるかもしれないと獏良は思っていた。今の恐怖は取り憑かれていたとき以来だ。
「あ……」
バクラが無言で獏良に覆い被さる。生暖かい体温と呼吸が肌にかかった。
顔が近づいてくる。獏良は咄嗟に目を瞑って顔を背けた。首筋に柔らかいものが当たる。微かな水音が聞こえた。その感触と音に獏良の身体が勝手に震える。
面積の少ない衣裳にバクラの指が触れる。胸の突起の周りを探るように円を描く。恐らく色が変わる場所だ。
獏良は初めての経験に仰天した。バクラの行動の意味が分からない。声が出てしまいそうなくらいにくすぐったい。
「なっ、に?ふざけるのはやめてよ……」
抵抗しようとしても、のしかかられてはどうすることもできない。バクラの顔は真面目そのもの。獏良はどう受け止めていいか分からずに言葉を失う。
徐々に胸の感度が上がっていく。布が擦れて先端に緩い刺激が加わる。獏良は漏れそうになる声を必死で抑えた。気を弛めればはしたない声が出てしまいそうだ。
それを嘲笑うかのようにバクラが先端を親指と小指で摘まみ上げた。軽く押し潰すように。
「んっ……!」
獏良の身体が勝手に跳ねる。目尻に涙が浮かんだ。
バクラは満足そうに微笑んで獏良の耳元で囁く。
「硬くなってんじゃねえか。ほら見てみろ」
胸の突起が窮屈そうに衣裳を持ち上げている。獏良自身も今まで見たことのない形だ。
バクラが指先で布をずらすと、薄桃色の突起が現れた。空に向かって強く主張している。
バクラの人差し指が山頂部をくりくりと弾くように刺激し始めた。果実のように色づいたそこが揺れる。
「気持ちいいだろ?我慢すんな。余計意識して辛くなるぞ」
うっとりとした口調を遮るように獏良の口から声が漏れた。
「うっ……っ……」
それは歓喜の声などではなく啜り泣き。嗚咽混じりに目尻から涙を流している。への字口がわなわな震えている様が子どものよう。
これから同居人として打ち解けられるかもしれないと思っていた矢先にこの仕打ち。獏良の心は酷く傷ついていた。悪戯にしても質が悪い。嫌がらせをされるほどの罪を自分は犯しただろうか。混乱もしていた。
「うう……くっ、ひ……」
涙が次々流れていく。バクラの顔はぼやけて見えない。鼻を無様に啜り、込み上げてくる感情を抑えるのにただ必死だった。
突如として身体に重さが乗った。続け様に深い溜息。否定的な音ではなく、どちらかというと弛緩したときに出るような音色。
バクラの手が獏良の頬を拭う。目の周りも指を使って丁寧に触れる。
「悪かった。悪かった。驚かせたな」
幼子にするように獏良の頭を撫でる。
改めて目にしたバクラの顔は少し困ったような表情をしていた。初めて見る顔つきだ。
「こんなもん煽ってるとしか思えないだろ……。ったく城之内のやろう……」
そのバクラの言葉は独り言に近い意味合いを含んでいたが、弱っている獏良には後半の愚痴が攻撃的に聞こえる。小動物のようにびくりと怯えた仕草をした。
「ああ、ちげーちげー。お前にじゃなくてな……」
バクラは獏良の髪をゆっくりと梳き、頬に触れる程度に唇で触れる。予想外の優しい手つき。初めての心地よさに獏良の緊張が解けていく。
「——別に虐めたわけじゃないからな」
驚くほど穏やかな囁き。額に口づけが一つ。まるで大切なものに触れるような扱いに獏良は戸惑う。
「……じゃあ、なに?」
ようやく獏良の口から言葉が出てきた。少し掠れた声が子ども染みた抑揚になってしまった。まだ瞳が濡れている。
「こんな挑発的な格好しやが……されたら、我慢ができなくなるだろ」
獏良は目を丸くしてぱちぱちと瞬きをする。バクラの言葉が理解できない。もちろん「言葉の意味」は分かる。「獏良がこの衣装を着ると、バクラが我慢できない」という意味だ。表面上は理解できても、内容は意味不明だ。何を我慢できないのだろうか?
バクラは戸惑うばかりの獏良の反応に今度こそ深い溜息をつき、力を失ったように肩に顔を埋める。
「嘘だろ……。ファンクラブの女子ども諦めろ。これは無理だ」
「なに?」
囁き声を獏良は聞き返すが、答えはない。代わりに、バクラは顔を上げて真摯な眼差しを向ける。見たこともない表情だ。
「気づかなかったのか?同居してて。自分がどんな風に見られてるのか」
その問いかけに獏良は何と答えてよいか分からず、ただ首を横に振る。
「……お前はただの親切心でオレをここに住まわせてるんだろうが、オレは恋慕の情を寄せてるってことだよ」
「へ……?」
獏良が上げたのは間の抜けた声。咄嗟に音だけでは正しい言葉の意味が理解できなかった。頭の中で反芻し、正解と思わしき言葉に辿り着く。しかし、脳が認めても心は置いてきぼりだ。どう考えても「それは」あり得ないのだから。
「好きってこと?」
自らでは答えが出せず、とうとう口にする。困惑気味におずおずと。声に出してから遅れて自覚をして、顔を赤く染める。耳まで火が灯ったように熱い。まるで自意識過剰ではないか。
「ううん!間違えた。僕を慕ってくれてるんだよね?その……人として」
至った思考を振り払って気づかなかったことにし、茶目っ気のある顔でバクラに笑いかける。「僕も仲良くなりたいと思ってるよ」と続けて、会話を終わらせようとしたが——。
「そんなわけねえだろ」
あっさりと否定される。
手を持ち上げられ、指先に軽く口づけが落とされる。
「このオレが好きでもねえ奴と暮らしてると思ってんなら正気を疑うぜ」
髪の一房を掬い上げ、そこにもキスが一つ。
獏良の肌が粟立つ。バクラの所作は普段からすると信じられないほどすべてが丁寧だ。言葉よりも如実に心情を語っている。
「うん……」
小さな声で返事をしてから、両手で顔を覆う。
「見ないでよ……。恥ずかしい」
意識した瞬間から羞恥心が倍に膨れ上がる。本当ならこの場から逃げ出したい気分だ。
手から逃れている顔周りにバクラの唇が触れる。それからあちらこちらに雨あられのように軽いキスが降ってくる。
獏良が不快に思うことはない。むしろくすぐったい感触を享受していた。
自然と獏良の手が顔から離れていた。緊張が解れ、恥ずかしそうに目を伏せながらも抵抗はしない。
「嫌なら拒絶したって構わないんだぜ」
「うん……」
獏良は頷いてからも拒否をする素振りは見せない。どうしたらいいか、判断に困っていた。最近は同居していて心地よさを覚えていた。このまま仲良くなれるとさえ思っていたのだ。それは、恋愛感情では決してなかったが……。
そもそも獏良の選択肢に恋愛はない。今まで自分とは関係のないものだと認識していた。好意を向けてくる女子はことごとく情熱的だ。獏良が持たない感情だった。他人にそんな熱い想いを抱いたことはない。だから、恋愛とは無関係なのだと——。
「僕は……君ともっと一緒にいられればと思ってたけど……」
獏良は自信がなさそうに口を開くが、後半になって言葉に迷い、裁ち切れてしまう。それでも、「けど」に心情が込められている。『友人として思っていた』という意味だ。
バクラはそれ以上獏良を促すことはせずに深く頷く。
「ぼんやりしてるお前ならそうだろうな」
「うぅ……ごめん。気がつかなくて……」
バクラの表情には負の感情は見られない。やれやれといった様子で後ろ頭を掻く。
「嫌なら言えよ」
獏良に顔が迫る。動かないでいると、唇に柔らかい感触が触れる。すぐにそれは離れ、間を置かずして二度三度と繰り返される。
軽く触れ合うだけのキスだ。海外ドラマの家族間で見るような軽いもの。獏良が想像していたものよりも、ずっと一般的なスキンシップ。
しばらく続けば、さすがに慣れてくる。肩の力が抜けて自然に受け入れられるようになる。まるで鳥が親しみの意味を込め、ちょんちょんとつついてくる心地よさ。
獏良が唇の愛撫に浸っていると、今度は軽く唇を吸われる。歯を立てる程度の甘噛みが一回。角度が変わり、舌が唇を這う。
先ほどとは違う明確な愛情表現に、獏良は眩暈に似たものを感じた。どうにも言葉では表現できない初めての感覚。頭がくらくらする。夢見心地と表すべきなのだろうか。
いつの間にか獏良の口が半開きになっていた。そこへにゅるりと舌が入り込む。柔らかい感触が口内を刺激する。水音が鳴り始め、聴覚からも雰囲気を盛り上げる。つんつん、と舌の先をつつかれた。獏良が誘われるままに舌を伸ばすと、包み込むように吸われる。
未知の感覚に獏良の頭は真っ白になってしまいそうだった。とてつもなく艶っぽいことをしている。それなのに不快感は微塵もない。それどころか——
「——んっ……」
至福の溜息が口からこぼれ落ちる。獏良の頬は赤くなり、表情は蕩けていた。すべてを享受している。
バクラの口元が緩む。いつもの皮肉めいた意味ではなく、満足げな微笑。獏良の素直な反応に対する喜びだ。そのまま頬や首元に唇を軽く押しつける。
「ふぁ……あ……んっ」
その度に獏良から小さな声が漏れる。先ほどとは違う明らかな悦びの声。性的興奮を覚えているということだ。
バクラは夢中になって獏良のあちらこちらにキスを落とす。ときには舌で皮膚を撫で、ときには色がつくまで吸う。
獏良の反応は一つ一つ違っていた。耐えるように声を抑えたり、我慢ができずに声を上げたり、身を捩ったり。すべてに愛しさを感じた。
獏良の胸の先端はつんと上向いて膨らんでいる。普段は小さくて目立たないそこが熟れた果実のよう。
バクラが吸い寄せられるように舌でつつくと、「ひうっ」と獏良の身体が跳ねて仰け反る。初めて上げた大きな声だった。
嬌声に気をよくしたバクラは、さらに舌で下から上へ刺激する。もう片方は指で擦る。ぴぴぴ、と弾いた。
「あ、ああ、だめ……っ」
上擦った獏良の声には甘さが滲んでいた。
「ん。そうだな」
あっさりとバクラが胸から離れる。
無理やり責め立てても嫌悪感が残ってしまったら意味はない。獏良の嬌声は痺れるほどに魅力的ではあるが、今日は深追いをやめることにした。
引き締まった脇腹、小さく縦長に窪んだヘソ、ほどよく筋肉がついた滑らかな腹——バクラは彫像のような肢体を唇や指で撫でていく。触れる度に聞こえる囀りに酔ってしまいそうだった。
嬉しいことにその囀りには拒否の意味が含まれてはいない。あくまで平常心を失わないように注意深く獏良の様子を確認しながら進める。
既に下半身には熱が首をもたげている。面積の少ない下着を押し上げ、腰巻きが浮いている。頼りない布地の隙間からは、当然中身が見え隠れしている。本能的にバクラの視線は追おうとするが、なけなしの理性で耐えていた。
あくまでさりげなく膨らみに触れると、獏良の腰が震えた。
「アッ!」
既に先走りで衣装が湿っている。
バクラはやんわりと包むようにそのしこりを腰巻きごと握った。それは熱を持って痛々しいほどに主張している。ゆっくりと上下に擦ると、小さくビクビクと反応した。
「ふっ、んっ、く……」
獏良の足が助けを求めるようにシーツの上を滑る。何度かそれを繰り返し、足の先が突っ張った。
「やっ……だめ……」
獏良の両手が伸びて下半身を覆う。
「見えて……ない……?」
目を泳がせて真っ赤な顔。心底狼狽えている。
「いや……」
バクラは少し考える仕草をした。真正直に答えたとしたら、恥をかかせることになってしまう。今や羞恥心で心乱れそうな獏良を守っているのは、この薄い布切れ一枚だけなのだ。
「気にしすぎだ。……これならいいか?」
獏良の身体を横向きにし、背後から抱きしめる形になる。耳元で反応を窺うと、ほっとしたような溜息が聞こえた。
「うん」
実のところほぼ紐のような下着が尻の割れ目を辿っている。衣服としての意味はなく、むしろ恥部を強調しているかのようだ。バクラはそれを指摘せず、獏良の髪を掻き分けて首筋にキスを落とした。
「んっ」
唇はそのままに髪を手で梳く。柔らかな髪がバクラの指に絡む。
背中は黒い生地が肌の白さを強調している。縦に背骨の筋が通ってしなやか。傷や染み一つない。
手で触れればきめ細やかな感触。うっ薄らと産毛が生えるそこを軽く吸えば、薄ピンク色の仄かな跡がつく。真っ白なキャンバスを色づけていく様は、バクラの独占欲を刺激するようだった。
「くすぐったい。あっ……」
なだらかな丘陵を滑り降りていくと、下半身の一際盛り上がっている箇所に辿り着く。奥には張りのある小さな膨らみが見え隠れしている。
すぐにでも掻き分けたいところだが、バクラは焦らずに腰から柔く円を描くように撫で回していった。
「ふぅ……」
これまでに充分な愛撫を施されている獏良は刺激を敏感に感じ取っていた。尻から腰に小さな電流が伝わり、背中を這い上っていく。心地よい感覚。目を細めて恍惚の表情を浮かべた。
他人が触れる場所ではないのに自然と力が抜ける。柔らかい肉に隠された窄まりに細い一本の指が届く。
小さな穴の縁を指が優しく辿る。その度に中心部に沈んでしまうのではないかと錯覚した。通常ではありえない事象。排泄するための場所を弄られる背徳感。獏良の胸が高鳴る。このまま先には何が待っているのだろうか。未知への期待に包まれていた。
自然とバクラの方へ尻を突き出すような仕草になる。それほど奥が疼いている。それに気がつかないほど獏良は子どもではない。
「……いれて、いいよ」
恥じらいながら辿々しく言った。
「いれるんだよね?」
後孔がひくひくと物欲しそうに収縮している。
バクラはその光景に唾を飲み込む。獏良の仕草が蠱惑的に見えて、欲望のままにむしゃぶりつきたくなる。それを苦心して抑え、口元を緩める。相手を安心させるための笑みだ。
「まずちゃんと準備しなくちゃいけないだろ?お前を傷つけたくはないからな」
サイドラックの引き出しからボトルを取り出し、中から粘度の高い液体を手に取る。
「嫌だったらちゃんと言えよ」
後孔に優しく塗りつけ、指先を中に沈み込ませる。潤滑剤の力を借り、狭くとも異物を難なく受け入れた。
「痛くないか?」
「う、ん……。ちょっと、変な感じ……」
ゆっくりと中を解していく。少しずつ柔らかくなり、くちくちという小さな水音が徐々にじゅぷじゅぷと指を飲み込むような音になる。
「はァ……くふっ……ぅん……」
指の本数が増えて穴が広がっていくのが分かる。不可侵の場所を抉じ開けられる快感に腰が疼く。勝手にきゅうきゅうと指を締めつけた。
唐突に指がずるりと抜かれた。驚いた獏良の口から甲高い声が漏れる。
「ひうっ、はぁ……うう……」
休む間もなく指の代わりに熱くて堅いものが押し当てられた。片足を後ろから持ち上げられ、雄犬が排泄するような体勢になる。普段だったら抗議の一つもするだろうが、獏良の意識は後孔に向けられている。
「あ、あぁ……」
黙視しなくても察せられた。何が獏良の身体に潜り込もうとしているのか。
「——宿主。いいのか?」
獏良の緊張が最高潮に達したとき、静かにバクラから問いかけられた。
「う……うん」
「お前にははっきり言っておかないと伝わらねえから言っておく。これでお前はオレだけのモンだ。他には渡さねえ。その代わりお前のことは何よりも優先する」
堅いものが後孔にゆっくりと入っていく。押し広げて奥まで。指よりも熱く滾っていた。
「あっ、ひぅ、んっ、く……ぅ」
指では届かないところまで辿り着く。そこでバクラは一度動きを止めた。
「大丈夫か?痛むか?」
汗の粒が浮かんでいる獏良の背に口づけをした。
「う、ううん。ちょっと、お腹、苦しいけど……」
「ゆっくりするからな」
遅い速度で獏良の中を陰茎が撫でる。ある地点を通過したときに、獏良は仰け反った。
「あッ!ひっ!んあ!」
バクラを締めつける。
「……っ。ここだな。男がきもちよーくなれるところがあるんだぜ」
反応があった部分を重点的に突つく。
「はっ!やだ!きもちいい……なんで?!」
獏良の恥部は大きく反り上がり、ひくひくと震えた。普通なら射精の前兆だが、勃ったままで液体は出てこない。
「ひうっ!」
獏良は一際大きく啼いた。痺れが腰を這い上っていく。それでも恥部は屹立したまま。強すぎる快感に目が濡れている。
「気持ちよかったか?」
「う……ん」
獏良は蕩けた顔で頷く。絶頂は終わりの合図のはずだ。しかし、まだ高まりは収まっていない。その幸福感に包まれていた。
「じゃあ、最後は前と後ろで……」
再びバクラの腰が動き始めた。今度は奥と入り口を行ったり来たりしている。ぐぽっ、ぐぷっ、ぱちん——結合部分から鳴る卑猥な音が大きくなっていく。
前はバクラの輪状の手が扱き、前と後ろの同時の刺激を送る。
「ああっ、これすきぃっ。あっ、あっ、のぼってくる……くるっ」
獏良の雄茎から熱いものが迸った。びゅるっと勢いよくパンツに引っかける。それでも受け止めきれずにシーツをポタポタと濡らした。
「あ……あぁ……っ」
それと同時に後孔に白濁液が大量に注がれる。
「くっ……」
「ふぁ……!」
ぬるりと雄茎を抜かれると、獏良の身体は力を失ってベッドに倒れた。
トップスを上にめくられて剥き出しになった胸に、水分を吸収してぐちゃぐちゃになったボトムス。獏良はぐったりとして荒い呼吸をしている。
それを見下ろすバクラは自嘲気味に笑うと、触れるだけのキスを唇に落とした。
*****
「う、うーん……」
獏良は薄く目を開いた。
瞼が重い。それどころか身体も……。
靄がかかっていた記憶が段々と明瞭になり、寝る前の行為を思い出してベッドから跳ね起きた。
昨日までは自分の身に起こるとは考えもしなかった事態に心臓が激しく打つ。
ところが、ベッドにも服にもその痕跡がない。記憶が正しければ、かなり汚してしまっているはずだ。
それに着ていたのは露出度の高いアラビアの踊り子風衣装だったはず。今着ているのはいつものパジャマだ。
頭の中にハテナマークを浮かばせていると、ドアが開いた。
「宿主。もう六時過ぎたぞ」
落ち着いた様子のバクラが部屋に入ってきた。
獏良が返答に困り、口をパクパク開けていると、ベッド脇に腰かけられた。
「身体はどうだ?痛むところはあるか?」
バクラは獏良の身体をあちらこちら眺めつつ言う。
「えっ。ううん。多分、だいじょうぶ……」
気恥ずかしさに語尾が消えかかる。
「簡単なもんだが、飯作ったから食おうぜ。食べられるか?」
「うん」
獏良が立とうとすると、さりげなく腰に腕が周って支えられた。
「あ、ありがと……」
少し照れながら礼を言うと、ちゅっと音を立ててこめかみにキスが一つ。
「んっ」
びくんと身体が震える。まだ獏良の中には情事の熱が残っているようで、刺激に反応してしまった。
バクラは音もなく笑い、獏良の手を引いてリビングルームに出た。
テーブルにはコーンスープとチキングリル、サラダ。ご飯もしっかり炊いてあった。
「これ!作ったの?!」
メニューとバクラを交互に見ながら獏良は口をぽかんと開いた。
「いや、スープを溶かすやつ。肉は焼いただけだ」
バクラ本人は大袈裟だと困惑している様子。
だが、食事担当の獏良には分かる。即席であろうと、しっかりした食事を用意するのは大変だ。冷蔵庫の中身を把握しているから余計にそう思った。
「ありがとう。美味しそう。僕、お腹ぺこぺこ」
「そうか」
バクラは満足げに口元を緩ませた。
二人で箸を進めていると、
「あ、あの服は洗っといたぞ。城之内に言っておけ。あんなもん不要だってな」
バクラが鼻を鳴らした。
「うん……」
「それとデュエル大会の日時を知らせろ、ともな」
獏良は箸を止めてチキンから顔を上げた。
「え?出るの?!」
「ヤツの策に乗ったようで腹立つけどな。駄賃は支払わねえと。ついでにデッキ構成も教えろって言っておけ。合わせてやるよ」
バクラは箸を獏良に突きつけて言い切る。
行儀のいい行為ではないが、獏良の胸は弾んでしまった。瞳は興奮で輝き。箸から手を離す。
「僕、応援に行くね!楽しみ!」
友人たちとバクラが共闘すると思うと、楽しみで仕方がなかった。
「ねえねえ、どんなデッキを考えてるの?!」
「城之内たちの内容を知らなければ何とも言えないが、攻撃型のデッキで来るとしたら、オレは……」
その後は談笑をしながら食事が進んだ。
*****
大会当日、城之内率いる「童実野ファイアー」グループ——バクラがダセェと鼻を鳴らしていた——は、順当に決勝戦まで勝ち進んだ。遊戯、城之内が攻撃型、アテム、舞がバランス型という構成だったので、バクラは勝ちを譲らない防御罠型デッキにした。
ごりごりと相手の手札を削り、勝ちか引き分けを狙う作戦だ。一戦の勝敗をコントロールすることで、仲間の負担が減る。勝ちが困難だと判断すれば、「手札抹殺」などのカードを発動し、引き分けに持ち込む。
城之内は「きったねえ……」と背後で漏らしていたが、バクラは真っ向勝負ではなく効率を重視する。それが功を奏してチームに大いに貢献した。
獏良は観客席から頬を紅潮させてにこにこと笑いながら応援していた。
そして、決勝戦。
モンスターが舞い飛ぶ派手派手しいVRと共に現れたのは、四人のAI海馬。
本人は高笑いを上げながら奥の出場選手口から緩慢に歩いて登場した。
「このリーグに勝ち残った者たちと闘うのは、我が社が新規開発したAIだ。まだ試作品だが、俺のデュエルタクティクスを存分に学ばせた。皆の者よ、存分に我が社の実力を味わうがいいッ!!」
手を握りしめて宣言する海馬に、城之内は指を差して叫んだ。
「なんなんだソレはよぉ?!」
現実には世界に三体しかない青眼の白龍が、AIの仕様によって十五体になっていた。超攻撃特化型デッキを前に城之内のチームは敗退。予想外の出来事だったから当然といえば当然だ。
舞は途中からやる気をなくして「はー、バカらし。こんなの茶番じゃん」と言い出し、遊戯は「うーん。みんなでブルーアイズ対策デッキにすれば良かった?」と溜息をついていた。
*****
後日、獏良は学校で城之内に例の衣装について恐る恐る尋ねてみた。城之内の感覚にはそぐわない気がしたのだ。
「あー。あれか。使ったか?」
獏良が答えに窮していると、特に気にする様子もなく城之内は朗らかに答えた。
「潰れたバイト先から売れ残りを押しつけられんだけどよぉ。中身は見てないが、エジプト衣装とか書いてあったろ?あいつ、エジプト生まれだから、こういうの好きかもしれねえと思ってよ」
獏良はその答えを聞いてひきつり笑いをするしかなかった。
家に帰ってバクラに伝えたところ、盛大に笑い転げていた。
「それじゃあ、キューピッド様にありがとよって伝えておけよ」
「できるわけないじゃないかーッ!!もうバカーッ」
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バクラ的には試合には負けたが、勝負には勝ったパターンです。
チームの敗因は一度登録したデッキは組め直せないルールだったからです。
バクラは大体計算で動いていますが、腹黒ではなく、基本的に冷静というか、そういう生き物だと思ってます。ギアが入るとガンガンに攻め、足を掬われて負けるのがデフォです。