ばかうけ

ずりずりと布の擦れる音がする。続いてぎゅうと引きつる音。ずりずり、ぎゅう。
不規則に繰り返される音の中で、時折小さな鳴き声がする。猫のような、そうでないような。
人間のものだとしても、母音だけで構成された、とても言葉にならないもの。
やがて音たちはまとまって部屋中に広がる。
「だめッ!だめだからぁ……」
子猫の鳴き声が人の声へと変わった。言葉上では否定の意味を持ってはいるが、既に甘ったるく染み込んで真逆の音に聞こえる。
声の持ち主は気づいているのか、いないのか。
少なくとも、言葉をかけられた相手はそうは思っていない。
聴覚への刺激に喉を鳴らし、全身を震わせた。
「宿主……」
鎖骨の下に唇を押しつけて音を立てる。
血流が流れ込んだ下半身はズボンの前を押し上げていた。
甘い声に誘われるままに、組み敷いた相手の足の付け根ににぐいぐいと擦りつける。強張ったものが垂れた頭の上で往復する。
「んっ……だめっ……」
緩くまどろっこしい刺激に否応なく追い詰められていく。
その間も乱れた衣服の隙間から覗く白い素肌の上を唇が滑る。
「ふうっ……ん……」
ちゅっと音が立てられる度に漏れ出る声は、やはりイエスの意味を含んでいた。

平和な休日の昼下り、二人はいつものように自宅でのんびりと過ごしていた。
インドア派の獏良に合わせれば、そうなるのが自然だった。
借りてきた映画をソファに座って二人で鑑賞。
テーブルには徒歩三分のコンビニで購入したスナック菓子と炭酸飲料を並べた。
レンタルランキング上位で、ネットでも高評価の恋愛映画。
二人の趣味から外れはするものの、たまには気分を変えてみるのも良いと手に取った。
そして、泣けるとの評判通りのラストに獏良の涙腺が緩みに緩み、ティッシュ箱を抱えることとなった。
エンドロールも終わり、隣に座っていたバクラに楽しかったねと感想を述べたところで状況が一変、瞬く間ににじり寄られた。
確かにムードとしては申し分ないかもしれない。
映画の甘ったるい雰囲気に流されて、獏良は簡単にソファの上に組み敷かれてしまった。
キスをしばらく受け入れた後で、ハッと我に返ってバクラを押し退けようとした。
そこからはソファカバーが捲れ上がるほどの二人の攻防。
バクラの方は完全に火が点いた状態で獏良の抵抗を物ともしない。
対する獏良は死に物狂いだった。恋人同士では何ら問題のないスキンシップでも、引くに引けない理由があったのだ。
「お願いやめてっ」
バクラの頭をばたつく手で押さえたつもりが、勢い余って乾いた音を立てた。
「あ、ごめん……」
偶然の平手打ちは運良く冷水の効果をもたらしたらしい。
「なんだよ。何が気に入らなかったんだよ」
バクラは上体を起こし、額に落ちた髪を払った。
獏良の視線が窮屈そうに張り詰めた前方の下腹部を捉え、落ち着きなく明後日の方向へ逃げる。
「……身体、洗ってきたい」
もう既に半日過ごした身体を投げ出すわけにはいかなった。
諸々の事情から知らないことはない仲とはいえ、どうしても獏良の意識はそこから離れず、頭の中をぐるぐると余計に回って集中できない。
温かいベッドの中で微睡むように、快感に流されるまま上り詰めた方がどんなに楽か。獏良でも充分に承知している。
汚れた身体のことが頭を過ぎり、我を忘れるわけにいかなかった。
汗臭くないだろうか。触れられるであろう部分が気になる。それに一番大事なところが……。
「さっさと行ってこい」
獏良が二の句を考えている間に、バクラは実に潔く身を引いた。季節外れの雪でも降るのだろうか。
腹を立てた様子もなく、捲れた裾を直し始める。
バクラの気が変わらないうちに、獏良はするりとソファから下り、そそくさと風呂場へ向かった。
もたもたと留まって一緒に入るなどと言い出されたら、「この前」の二の舞になってしまう。
脱衣所の扉を閉め、追いかけてくる気配がないことを確認してから、深く息を吸って呼吸を整える。
バクラによって高められた体温を落ち着かせようとした。
煽られて少し起き上がってしまっている陰部も同様。
何度も擦られていれば当たり前の反応だ。
必死にうろ覚えの寿限無や般若心経を頭の中で唱えた。
思いつく限りの呪文を繰り返し、あめんぼ赤いなと五十音を数え始める前に血流が引いていった。男とはつくづく難儀な生き物だと思う。
先ほどは抵抗するばかりで考えもしなかったが、中断させてしまって悪かったなと、バクラに対して今さらに引け目を感じた。かちこちに腫れ上がった男の象徴をそのままにしておくなんて残酷だったかもしれない。
熱が完全に治まってからシャツとズボンを手早く脱いで一糸まとわぬ姿になる。
服は脱衣かごに放り投げた。行儀はあまり良くないが、あんまり待たせては申し訳ない。
ゴムで髪を結い上げ、浴室の扉に手をかけ……はたと気づいてくるりと方向転換する。
風呂場の対面にある洗面台へ。そのまましゃがみ、下部の収納棚を開けた。
買い置きの洗濯洗剤や歯磨き粉が並ぶ中を掻き分け、奥から一本のボトルを取り出す。
それを手に持ち、今度こそ浴室へ。
持ち込んだボトルは化粧鏡の下、シャンプーの隣に一旦置き、バスチェアに座る。
蛇口を捻って勢い良く飛び出した水流の温度が温まるのを待ってからシャワーを手に取った。
首から満遍なく湯を肌にかけ、表面の汗を洗い流す。
スポンジにボディソープをつけ、わしわしと充分に揉んで泡立てる。
白い泡まみれになったスポンジで優しく肌を擦る。
全身が白く染まっていくうちに石鹸と花の香りがふわりと漂った。仄かに甘く、包まれているだけで癒される自然な香り。
安いからとドラッグストアでたまたま購入しただけもの。それでも獏良を開放的な気分にさせてくれる。
まだまだ日中。さっと手早く、しかし汚れが残らないよう隅々までスポンジを滑らす。
耳の裏、足の指、ヘソ――洗うのを忘れがちな場所まで。
最近のバクラは獏良の弱点を一つ一つ確かめることに凝っているらしく、全身どこでも油断してはならないのだ。
獏良は泡まみれになった身体を洗い流し始めた。スポンジも身体と一緒に湯に当て、ぎゅうぎゅうと絞る。
あのままバクラに身体を委ねてしまえば楽だった。しかし、すべてを放り出すことにはまだ抵抗がある。
僅かに働く理性は安堵をもたらすと同時に憎らしくもあった。
身体をすべて洗い流すと、薄桃色に染まった水濡れの身体が現れる。
鏡の水滴を手で拭い、泡が残っていないか確かめた。
肉づきの少ない身体では骨格がよく分かる。軽く捻るだけであちらこちらから筋や骨が主張する。
バクラに抱かれるようになってから、獏良は自分の身体に興味を持つようになった。
それまでは整った外見に周りが騒げば騒ぐほど醒めた気持ちになっていた。騒がれるだけの価値がないものだと思い込んでいたのだ。
自分にも性的魅力というものがあるのだろうか。
湯気で曇りつつある鏡に改めて身体を映す。
獏良の目には、やはりただの痩せこけたつまらない身体にしか見えなかった。
健康的に脂肪がついた女のふっくらとした身体の方が魅力的に決まっている。
バクラがあんまりにも愛でるものだから、もしかしたらいつの間にか驚くべき変化があったのではと思ってもみたが、気のせいだったようだ。
しかし注意してみると、どことなく以前の身体つきとは変わっている気もした。
白い胸に控えめながらも主張している淡い二つの実。
豆粒大のそれは記憶よりも少し大きく、周囲の盛り上がりも含めて色が濃くなっているように見えた。
考えすぎの一言で片付けてしまえるような小さな変化。
それでも性の目覚めを感じずにはいられない。
――たくさん触るから……。
一部だけでなく、バクラが触れたどの部分も少しずつ変わっていっているのかもしれない。見た目には現れていなくても。徐々に花開くように。
――ここも……。
腰の後ろに手を回し、下にある女よりも脂肪の少ない膨らみを探る。肉を掻き分け、奥に隠された小さな蕾。
もしかしたら、ここも性生活に慣れて色や形が変わってしまっているのではないか。
指で撫でるだけでは分からない。鏡に映そうとしても見えない。
バクラに確認したくても、できるわけがなかった。
そんなことを言おうものなら、嬉々として報告されてしまう。
恥ずかしい。けれど、決して嫌ではない。相手の色に染まっていくようで、それを自覚すると心臓の鼓動が早くなっていく。
他の誰を相手にしてもこんな気持ちになることはない。新しい自分を発見した気分だ。
獏良は風呂場に持ち込んだボトルを手に取った。ワンタッチ式の蓋を開け、中から粘り気のある透明の液体を絞り出す。
ちょろりとお湯を手のひらに垂らし、液体と混ぜ合わせる。
細かい泡が両手の中で生まれていく。
手のひらを開いて鼻を近づけてみれば、ジャスミンとネロリの爽やかな香り。
こっそりと購入したデリケートゾーン用ソープ。
バクラに見つからないように洗面棚の奥にいつも隠してある。
目敏いバクラのことだから、もしかしたら気づいていて口に出さないだけなのかもしれない。
気づかれて困ることではないが、堂々と浴室に置くのは気が引けて、使うときだけ出すことにしていた。
元々性知識の少ない獏良にとって、実際の性行為については分からないことだらけだった。
男と女ならいざ知らず、自然界に反した行為とあっては暗中模索するしかない。
その中で一番獏良の頭を悩ませたのが、準備についてだった。
中途半端に身につけた知識では、中を洗浄するだとか、前日から食事を制限するだとか、ひよっこが一人でできる内容ではとてもなかった。
困り果ててバクラにそれとなく尋ねてみたことはある。
「僕の方がすることある?」などという、伝わるとは到底思えないくらいの遠回しな言い方で。
だからなのか、バクラはあっさりと首を横に振り、「お前が気にすることはない」という答えが返ってきた。現に準備も後処理もほとんど任せきりだった。
とはいうものの、何もしないわけにはいかない。
せめて綺麗にしておきたいと、「低刺激で粘膜にも優しく、気になる臭いを元から立つ」という謳い文句に誘われ、通販で手に入れたのがこの洗浄剤だった。
どれだけの効果があるのか、綿密に通常の石鹸と比較したわけではないが、刺激を感じることがないので気軽に奥まで洗えるのは助かった。
獏良はすっかり力を失って垂れ下がっている陰茎を持ち上げ、皮を根本に向かってずらし、先端を露出させた。
ピンク色に剥き出しになった箇所を洗浄剤のついた手でぬるぬると擦る。皮の間まで丁寧に。
そのまま根本や薄く生えた草むらまで洗ってしまう。
前が終わったら後ろだ。同じように洗浄剤を泡立てて、バスチェアから浮かせた部位に指をあてがう。
泡が滑りとなって難なく人差し指の第二間接までするんと入った。
以前は指の先までしか入らなかったことを思い出さずにはいられなかった。
中指も増やして先へと進む。
なるべく奥まで綺麗にしたい。二本を小刻みに動かして周囲の壁を撫でる。
指はしっかりと包まれていて、中は余裕がないように感じる。これより太いものが入るのが今でも不思議でならない。
身体のバランスを崩さないように片手をバスチェアに突き、もっと腰を持ち上げる。
くぷくぷと下半身から空気と粘液が混ざる音が聞こえてくる。
試しに腹に力を入れてみた。
粘膜が少しだけ強張るような感覚はあるも、大した変化はない。
「ふっ……んっ……」
さらに腹を凹ませてみても同じことだった。
性行為に使う場所とはとても思えない。これが行為中となると、かちこちに固まった一物を受け入れたり、絞めつけたりするのだからおかしなものだ。
そもそも、排泄自体がいちいち考えてするものではない。意識してできることではないのか。諦めて指をずるりと引き抜いた。
洗浄はこのくらいでいいだろう。
バクラに身体を開かれなければ、一生こんなことに興味を抱かなかったに違いない。
先ほどのように迫られても嫌悪感は湧かなくなっていた。
むしろ、強く求めれば求められるほど、胸が熱くなって身を委ねてしまいたくなる。
獏良はシャワーの湯で下半身についた泡を流しながら、先日あったことを思い出していた。

今日と同じようにバクラが誘いをかけてきたのだ。
そのときの獏良は流されるままに愛撫を受け入れてしまった。
敏感な部分を触れれば抵抗する気もなくなってしまう。
ソファの上で感じるままに身を捩り、あれよあれよという間にすべて脱がされた。
喘ぐ合間に「シャワー……」と、辛うじて主張はできた。
「そうか……」
バクラは訳知り顔で頷いて手を止め――、
「じゃあ入るか」
出し抜けに獏良を抱き起こした。
「え……え……?」
力の入らない獏良の身体を引きずり浴室へ。バスチェアに座らせた後は自らも全裸になった。
浴室のドアを閉められたところで、獏良は逃げ場を失ったことに気づいた。
背後から伸びたバクラの白い手がボディソープのポンプを押し、排出された液体を獏良の身体の前で揉み合わせる。
開いた手の中にはまるでいっぱいの生クリーム。
その生クリームがぺたりと獏良の胸に乗った。
「ひゃっ」
生クリームだらけの手が全身を撫でる。凹凸もすべて余すところなく。
肩から指までぬるりと滑り降り、五指の間を行ったり来たり。足の指も同じく。
面積の広い部分から徐々に隠された部分に移行していく。
「んっ」
強い刺激ではない。バクラの手つきは母親が子どもに接するがごとくに優しい。
全身をくすぐられているようでいて、終わりがまるで見えない。緩やかな刺激に心も身体も溶かされてしまう。
それだけに下半身に集中した熱が燻ってもいた。
達するには至らない。それが延々と続く。
ひくんひくんと、そこかしこが失った言葉の代わりに訴える。
「やぁ……」
獏良は全身を生クリームだらけにされ、終わる頃にはバクラにぐったりと寄りかかり、白い顎を見せていた。
「綺麗になっただろ」
湯気のせいだけではなく、輪郭がぼやけて映ったバクラの顔は満足げだった。
浴室から出た後は、下ろし立ての柔らかいバスタオルに包まれて、寝室へと運ばれた。
くてんとベッドの上でぴかぴかに磨かれた身体が横たわる。
もはや、獏良にまともな思考力は残っていなかった。
頂上が見えないもどかしさに自ら脚を開いてしまった。
上半身は元気なくベッドに密着して、下半身はバクラに向かってふしだらに誘いをかける。
その対比がどうしようもなく扇情的だった。
「……早くきて。も、だめ……。お願ぁい」
あられもない獏良の姿にバクラは並んだ歯を見せて、喉を鳴らした。
あとはもう互いが獣のようにしがみつき、あらゆる液体で身体がどろどろになるまで貪り合った。
浴室で丹念に解された後孔は、性急すぎる挿入も難なくするんと奥まで受け入れてしまう。
獏良の全身が性感帯になっていた。髪を撫でられるだけで、息を吹きかけられるだけで、歓喜の悲鳴を上げる。
対するバクラも余裕をなくしていた。浴室とは打って変わり、荒々しく無骨な手つきで獏良の身体をまさぐる。
「ああ……ンッ!いいッ!きもち、イイ……!」

もちろん、その日の情事について獏良ははっきりとは覚えていない。
何かとても恥ずかしいことを口走ってしまったという感覚が仄かに残っているだけだ。
それを裏づけたのは夜明けてからのバクラの態度。
いつにも増してベタベタと引っ付き、獏良が幾ら非難してもどこ吹く風。
お前は寝てろと洗濯や掃除などの家事を率先して行い、挙げ句の果てにはシュークリームのおやつ付き。
本人は澄ました顔を保っているつもりのようだったが、きっちりと表情は緩んでいた。
どうやら、とても喜ばせてしまったらしい。記憶に残らないほどはしたなく淫らなことで。

バスタオルで全身を拭いながら先日の出来事を思い出し、再び獏良の下半身に熱が灯りかけていた。
いけないいけないと頭を振って気を散らす。
思考も理性もすべて吹っ飛んだ行為は今までで一番強烈だった。
衝動的に激しく求められると、身体の芯が熱くなる。単純な肉欲だけではなく、相手も夢中になっていると感じるからだ。
最低限の節度は守らないといけないと自分に言い聞かせつつも、またあんなふうに抱き合ってみたいと思うのは止められない。
いつからこんなに性に貪欲になってしまったのだろうか。
身体を拭き終わり、何も身につけずにそのまま向かおうか悩み、結局は脱いだ衣服を着直した。
リビングに戻るも、バクラの姿は見えない。それでは寝室かと扉を開けてみれば、ベッドに寝転がって本を広げていた。
片手で頭を支えて身体を横向きに、先ほどまで臨戦態勢だったとは思えないほど寛いでいる。
獏良があれほど落ち着かせるのに苦心していた下半身をどうやって治めたのだろうか。
「早かったな」
バクラは本を閉じて起き上がり、ベッドから足を下ろした。続け様にとんとんと開いた足の間を手のひらで叩く。
獏良は誘われるままにバクラの前にできた小さなスペースに腰を下ろした。まるで専用のソファだった。
両腕ががっちりと獏良の胴に絡みつき、肩には顎が乗せられる。
獏良のうなじをすうと息がくすぐった。
もう汗の臭いなど気にしなくて済む。身体を綺麗にして良かったと安心してバクラに身を任せた。
「なんの香りだ、コレ」
「え、お風呂場に置いてあるボディソープだよ。君も使ってるよね?」
「いや、もっと甘い……そうか……」
元が同じ身体で、使っている石鹸も同じなら、香りに大差なんてないはず。
獏良が首を捻っていると、
「これ、お前の香りか」
背後から小さく囁かれた言葉に身体が硬直した。
悪ふざけでもなく、口説こうとしたわけでもなく、当然の如く発せられた言葉。
組み敷かれていたときとはまったく別の鼓動が獏良の内側で響く。
少しの間、バクラは獏良を抱えたまま顔を肩に押し当てていた。
いつまでこのままの体勢でいるんだろうかと、獏良が疑問に思い始めたとき、勢いよく身体をベッドに倒された。
視界がぐるんと回り、見上げた先は天井ではなくバクラの顔。
「勃った」
簡潔すぎる言葉に自然と獏良の視線が下がる。
膨らんだ下腹部がズボンの下から主張している。
獏良は顔を反らすことすら忘れて欲の塊を凝視した。
視界の外から現れた手がズボンの前をさ迷い、ジジジとチャックが下げられたかと思うと、中からピンと起き上がった強張りが顔を出した。
「ヒッ」
片手がまるで見せびらかすように竿を握る。
獏良は咄嗟に両手で顔を覆い隠すも、既に光景が脳裏に焼きついてしまっていた。
下着の下から現れた強張りは硬度を示すように真っ直ぐ伸び、先端は露出してテカテカと光っていた。
なにしろ真昼の太陽が射し込む部屋の中で見るのは初めてだったのだ。
「ん?なんでビビってんだよ。お前にもぶら下がってンだろ。同じモンが」
そうっと指の間から再び確認してみても、獏良の耳や首がますます真っ赤なるだけだった。
バクラの言うとおり、まったく同じものが獏良の股間にも収まっている。
しかし、じっと観察する機会など今までなかった。
その上、自分の身体の一部でしかないものが、もう一人のものとして目の前に現れることなど他にありえるわけがない。
それに……。
「だ……だって、うぅ……」
獏良の両手は顔から離れず、口元で所在なげに震えている。
「ほら、よく見てみろ」
「やだ……あっちに向けてよ……」
今にも顔に迫ってきそうな先端から目を逸らすことも、真っ向から見ることもできず、瞳が左右に頼りなく揺れる。
それなのに腰の下部が疼き、背骨を這い上がり、胸がジンと痺れた。
猛々しく視界に居座る形状は、この先にある快感へと繋がっている。
獏良は口の中に沸いた液体をこくんと飲み干した。
「だって……」
それを認めてしまうことは、男のプライドが大いに傷ついてしまう。しかし、認めなければ先へ進めない。
この膠着状態から脱するには正直に答えるしかなかった。
「僕のより……ちょっと大きい……」
男としてこれ以上ないほどの屈辱だった。
「なんで?」
口を尖らせて視線は斜め下に送り、少し羞恥心の混じった拗ねた顔。
「そうかぁ?」
バクラは拍子抜けといった様子で自分の一物を見下ろした。
獏良のものはまだ足の間で大人しくしている。異なる状態の二つでは比べようがない。
「まあ、お前は余計なこと考えすぎてんじゃねえの。そんなんじゃ勃つのも勃たねえよ」
「ううっ」
勃起は精神によるところが大きい。ほとんどが外性器である男性器は外部からの刺激に弱く、女性器の方が複雑にできている。
だからといって、まったく単純な器官だというわけでもない。
少し精神的にショックを受けただけで萎えてしまうという、繊細な部分も合わせ持っているのだ。
その日の体調によっても大きく変わる。自分ではコントロールできない。
同じ肉体から別れたものであっても、中身が別人であれば差が生まれるのだろうか。
獏良は頬を膨らませて信じがたい事実から目を逸らしていた。
「そんなに気にすんなら、すぐに大きくしてやるから拗ねんなっての。ほら、ココは反応してんじゃねえか」
シャワー後の火照った身体からはじんわりと汗が滲み、シャツが張りついていた。
僅かに肌の色が透けたシャツには、胸の一部分がくっきりと浮き出ている。
バクラは指の腹で控えめに主張しているそこをくりくりと撫でた。
「ンッ」
「ココ好きだもんな。弄られるとどうでも良くなっちまうもんな」
胸に実った小さな粒を指で挟んで摘まみ上げる。
「そんなことな……だめぇ……ぁ……」
獏良は歯を食い縛って体内を駆け上がる快楽から逃がれようとした。
それを許さず、バクラの唇が首の付け根に落とされる。
吸血鬼にでもなったかのように肌に吸いつき、舌を押しつける。
「ふぅ……ッ」
加えられた新たな刺激に、獏良は逃れるどころかバクラにしがみついて悶えた。
バクラの言葉が正しかったことをすぐに証明してしまった。
無意識の行動ではあったが、誰の目からも尻尾を振ってねだっているように見える。
しがみつかれた当人ならなおのこと。
「まだ脱がせてもねえのに、こんなに悦んじまって」
首から頬へ舌が這い上がり、ちゅっと音を立てたかと思えば、頬から耳の入り口を柔々と刺激する。
「ああっ……ふぅ……ん」
「ヤらしいなァ、宿主」
低温で囁かれた声が刺激と重なり、一段と獏良を熱くさせる。
「ほら、口開けな」
苦しげに忙しく呼吸を繰り返す口の中には、薄ピンク色の突起物が先を伸ばして小刻みに震えながら待っている。
バクラは挨拶がてらに先を突いてから突起物を絡め取り、内部に潜り込んだ。
「んふっ……ふぁ……」
分泌液が滴る互いの粘膜が擦れ、小さな泉を作る。塞き止めているのは二人の唇だけ。
獏良が口内でくねくねと蠢く肉の一片を懸命に受け止めているうちに、口の端から湧水が溢れ始めた。
獏良の顎と頬をぬらぬらと濡らしていく。
いくら獏良が止めようとしても、肉ヒダまで味わわんと好き勝手に動かれれば、どうすることもできない。
そうこうしているうちにシャツが胸元までたくし上げられ、バクラの手のひらが素肌を撫で始めた。
羽でくすぐるような優しい手つきに、獏良の肌がぷつぷつと泡立つ。
ヘソの周りから脇腹を行きつ戻りつウロウロし、その上に潜む肋骨の形を一本ずつ数えていく。
「ん、むっ」
二方向から攻め立てられ、喉の奥からか細い悲鳴が上がる。
つうとまた一筋の液体が流れた。このままでは溺れてしまう。
バクラの肩に回した手に力をこめると、最後に軽くちゅっと触れ合ってから、ようやく唇が解放された。
垂れた滴をしなやかな指が丁寧に拭き去る。
「キスも好きだな、お前。んな顔して」
解放された後も獏良の目はぼんやりと定まらず、濡れた唇はキスの余韻でうっすらと開いている。まだ足りないと言わんばかりに。
「もっと欲しいのか?」
「……ぅん」
「どこにされたい?」
「ぜんぶ……」
吐息交じりの答えにバクラの口角に笑みが浮かぶ。
視線は羞恥に塗れた獏良の顔面から離れず、微かに震える瞼から目立たない産毛に至るまで逃さずにまじまじと観察する。
「欲張りめ」
今度は少し凹んだ胴の中心、鳩尾にキスを落とした。
どこにしてやろうかと、舌舐めずりをする。
「ぜんぶ」と言われたからには、すべて任されたのも同然。満足してもらわなければならない。
どこに触れても愛らしい反応が返ってくるに決まっている。
だから、より楽しんでもらえる部分を選んで口づけた。
退屈させないように強弱をつけて、腹側も背中側も。
どこが過敏に反応するかは把握済みだ。それでも、まだまだ新たな発見もある。
思いつきで右脇の下を強く吸ってみれば、足がバタバタと交互に動いた。
バクラは未知の領域へ踏み込むような気分で滑らかな肌を堪能していった。
赤い痕は侵入済の証。口づける度に増えていく。
指の先も忘れてはならない。
まずは先端を軽く唇で触れてから、根本まで一気に口に含む。
舌を使って丹念にしゃぶってやれば、
「あっー!やっ、あ、はぁんっ」
形振り構わない嬌声が上がった。
獏良は拘束されていない方の手で額を押さえ、シーツに後ろ頭を擦りつけている。今日一番の反応だ。
指には神経が詰まっている。触覚において重要な部位だからだ。
それをすべて生暖かい粘膜に包まれ、性的興奮が高まった状態で刺激されれば、単純な接触よりも上回る快感が得られる。
今の獏良は神経が丸ごとバクラの舌の上で転がされて、支配されているような感覚に陥っていた。
「ひっ、ン、あァ」
指の間まで舌が差し入れられて、余すことなく指をしゃぶり尽くされる。
途切れることなく続くキスに、獏良の性器も熱を持ち始めていた。
バクラはズボンの上から触れて確認すると、手早く上着を脱ぎ捨て、ベルトにも手をかけた。
「もうキツいだろ?腰上げな」
「んっ……」
くてんと力なくベッドに沈む獏良の腰が少しだけ持ち上がる。
その隙に下着ごとずるりとズボンを足から抜き取った。
股間の中心には緩い角度で起き上がった男の象徴。
健気な様を見ていると、気にしているサイズとやらが分からなくなるほどに扱いてやりたくなる。
比べてみれば、主張が控えめかもしれない。
バクラは湧き上がる衝動をぐっと抑えて獏良の背に手を回す。
「起き上がれるか?」
獏良は呆けた顔のまま頷き、バクラの手に支えられながら上半身を起こした。
そのまま問答無用で抱き寄せられ、胴体がバクラの膝の上に乗る。
子どもを横抱きにするような体勢だ。
ただし、二人とも子どもではないので、これで終わらない。
バクラは獏良の身体を抱えた腕をするりと片足の下に潜り込ませた。
太もも掴むと、一気に足を折り畳むようにして引き上げる。
バクラから見て外側の足を持ち上げられ、獏良の隠された前や後ろが丸見えになる。
ちょうど犬が用を足す形を腹が上になるように引っくり返した姿。
「……えっ!や、やだぁ」
それまでぼーっとしていた獏良もさすがに顔を真っ赤にして不満を声に出した。
膝の上に乗せられているだけでも子ども扱いでみっともないのに、さらに大きく足を広げられては見せる顔がない。
身動きをするも、バランスを崩しそうになって、バクラの首にしがみついてしまった。
「ああっ、もう……!」
足をガッチリと押さえられては為す術なし。
大切な部分をバクラの前に曝すこととなった。
「オレのために綺麗に洗ってきたんだろ?なら、もっとよく見せてみろ」
二本の指で尻の奥にある穴をくぱくぱと押し広げては閉じる。
くにくにと周囲の肉を押されて、獏良の足から力が抜けていった。
「くぅ……」
半分勃ち上がった性器も排泄口もすべて見られてしまっている。しかも、はしたない姿でだ。
――こんな……動物みたいに……。
恥ずかしさと共に初めて知る興奮が獏良の身体中の温度を熱くさせる。
上から粘液を注がれ、浴室で既に解されている後孔は、いとも簡単にバクラの指を飲み込んだ。
「アッ、アッ、ンンッ」
大事な部分だけでなく、快楽に浸っている顔も見られてしまっている。
下に視線を向ければ、恥態がすぐに目に入ってしまう。
太腿の裏に当たる堅い感触がさらに追い打ちをかける。
「やあ……ンッ!」
「気持ちいーな?いつもより興奮してるのか?締めつけてくるぞ」
「も、もう、挿れて……!は、恥ずッ……ぅん」
卑猥な体勢からも、強すぎる愛撫からも、逃れたい一心で叫んだ。
バクラは意外にもあっさりと指を引き抜き、獏良を解放した。
続いて、ヘッドボードに付属している収納棚に手を伸ばす。
そこに入っているものは確認するまでもない。
薄い小袋とボトルが用意され、獏良が助かったと思ったのも束の間、
「じゃあ、自分で挿れてみな」
予想外の宣告を受けた。
「え?!」
てっきり挿入が始まるものだと思っていた。いつもの流れなら、バクラが有無を言わさず覆い被さってくる。
獏良はまさかの言葉に驚嘆して顔を引きつらせた。
「ど、どうすれば……?」
太股に乗ったまま戸惑っていると、足を跨ぐように指図された。
言われたとおりに膝立ちをして両足を跨ぐと、向かい合わせの体勢になる。
「で、そのまま挿れてみろ」
「このまま?!」
この体勢のまま腰を下ろせば、入り口にそそり立ったバクラの一物が確かに当たる。
それでも、目標が見えない挿入は難易度が高く思えた。しかも、自ら招き入れた経験はない。受け手上位の体勢など端から頭になかった。
「支えててやるから」
止むを得ず獏良はゆっくりと腰を下ろしていった。たっぷりと解された秘所は堅いものを受け入れたがっているのだ。入口が今か今かと収縮しているようだった。
バクラの両手は獏良の腰をしっかりと掴んでいる。
ある程度身を屈めると、ぴとりと堅いものが尻に当たった。
手探りで当たったものを掴み、入り口へと誘う。
あとは中に押し込むだけ。
「あ……無理……」
ただ迎え入れるのと自ら挿入するのとでは勝手が違う。
先を尻になすりつけるだけで、まったく入っていかなかった。
「入らない……」
受け入れ体勢は万全。口を開いて待っているはずなのに、一向に先へ進まない。もどかしさで気が焦る。
「手伝ってやるか」
腰を押さえていたバクラの両手が無遠慮に尻の柔肉を鷲掴んで押し分ける。
そして、下に向かって力を入れれば、ぱっくりと開いた口にずぶずぶと性器がめり込んでいった。
「あッ!ああ……んッ、くぅ……はい……った……ぁ。おくっ、に」
体重が加われば、粘液も手伝って深い場所まであっという間に辿り着いてしまった。
余計な力が抜けて、自然と二人の距離が近づく。
獏良の目線が少し高いことが新鮮だった。
縋るようにバクラの背に手を回せば、結合部だけではなく、身体も密着できた。顔もずっと近いところにある。
今までに体験したことのない距離感に、獏良は新鮮な驚きを感じていた。
両足をバクラの腰に絡ませ、尻を前後に小さく揺する。
満たされた後ろに身体全体が歓喜に震えた。
どんなに身を捩っても、受け止めてくれる体温が目の前にある。
不慣れなりに腰を動かしていると、下から大きく突き上げられた。
「あンッ!やっ、ぁ、ッ」
獏良は尚更バクラに抱きついて悦びの声を上げた。
「……ッ、気に……入ったか、コレ?」
きゅうきゅうと締めつける内壁と包み込む熱に、バクラも我を失いつつあった。
小さな窄まりを抉じ開けて、思う存分に掻き回したい。
欲望のままに突っ走ってしまわないように寸前のところで堪えた。
「ンッ!あッ、あァ、ん、こ……れ、好きっ、イイッ」
「お前の……中、こんな、柔らかく、なっちまってッ、」
腸壁が陰茎に吸いついてぐねぐねと律動する。まるで搾り取ろうとしているよう。
バクラは中を抉りながら、揺れる尻を左右から揉みしだいた。
「アッ、アッ、やぁッ!だっ、めぇ……あぁ……んっ!」
内側からも外側からも同時に刺激され、獏良は思わずしがみついた手の先に力を入れた。
バクラの白い背中に薄く赤い線が走る。
起き上がった獏良の先端からは止めどなく透明な液体が溢れ、バクラの腹に何度も頭を擦りつけていた。
それが予期せず小さな刺激となっている。
朦朧とする意識の中で獏良とバクラの視線が交わり、求めるままに唇が再び重ねられる。
「んっ、ふ、はぁ……」
唇も胸も腹も、すべてがぴたりと引っついて、互いの温もりを感じる。
性的快感だけでは味わえない、心から滲み出る喜びに包まれる。
――キモチイイ……。
埋められた男根の先が、ある一部分を探し当てた。
「ヒッ、ア……ッ」
獏良は途端に背中を反らし、口を音もなくぱくぱくと開閉する。
「……ココか?」
もう一度バクラが同じ箇所を突くと、
「ひゃっ、あっ、あっ、だめ……い、ぃいいッ」
上半身は仰け反りながらも、下半身はしっかりとバクラにしがみついたままで、声を絞り出した。
「くっ……ハハッ、どっちだよっ……ッ」
バクラは一箇所に狙いを定めてさらに押し上げる。
「あっ、ああッ!や、ぁん、やめ……!ふあッ!」
男根を包む粘膜が大きく収縮を繰り返し、バクラに絡む足の指先が突っ張った。
それでも手を緩めずに、何度も獏良の敏感な部分を舐め尽くす。
逃れようとしても絶え間なく押し寄せてくる大きな快楽の波に、獏良はびくんびくんと身を躍らせるしかなかった。
獏良の頭の中を空白が埋め尽くしていき、まだ粘度の低い分泌液がたらたらと滴り落ちる。
どんなに身体が震えても、突き上げる抽送運動は止まらない。
射精まで至らずとも、繰り返し登り詰めていた。
「ひぃ……ん、も、ぉ……ぃ、はぁ……」
「もう楽にさせて」と訴える前に、身体を力いっぱい抱きしめられた。
ぐりぐりと下半身が押しつけられ、中で強張りが大きく脈打つ。
「えっ!あっ、アッ!やぁ!で、でてる……」
「く、ふっ……うッ」
無意味な行為とは分かっていても、バクラは本能的に脈打つ性器を奥になすりつける。
連れ合いを逃さないようにきつく抱きしめて、すべてを注ぎ込む。
「んっ、すごぃ……いっぱい……あぁッ!まだ……」
どくんと中で暴れる度に、粘膜が咥え込んで搾り取る。
「ハァ、やどぬし……ッ」
ぴくぴくと痙攣している獏良の陰茎をバクラの手が余裕なく掴んだ。
「いま、されたらぁッ!あっ!あああッ!」
先端を擦られれば、あっという間に待ち焦がれた開放感がやって来た。
濁った液がほとばしり、二人の身体を汚していく。
むせ返るような熱気が部屋の中に満ちていった。

「ほらよ」
ベッドに寝転がったままの獏良にバクラがマグカップを差し出した。
カップの中にはゆらゆらと麦香る薄茶色の液体が揺れている。
バクラは下着だけ身につけた姿で、ベッド脇に腰を下ろした。
「ありがと」
獏良は簡単に行為の始末はしたものの真っ裸のままだった。
――うー、またやっちゃった……。シーツを洗わなきゃ……。
正体を失くしてまで快楽に身を委ねた後でも、必ず現実は襲ってくる。恒例行事となりつつあった。
あれだけ夢中になってしまったのだから、一つ洗い物が増えるくらいは仕方がないという気もする。
マグカップに口をつけ、こくんと茶を飲み込むと、すっかり乾いてしまった喉に染み渡った。
「ふう……」
一息ついたところでヘッドボードに飲みかけのカップを置き、バクラの隣に腰かけた。
「服着ねえと風邪引くぞ」
「君こそ」
吐く言葉は無愛想でもしっかりと獏良の肩を抱き寄せ、手のひらが冷えた身体を温める。
「シャワーの浴び直しだな。今度は洗ってやるよ」
「あっ、さっき!それ言うと思ったのに」
獏良がハッと膝を叩くと、バクラは目を意地悪く細め、キヒヒと喉を鳴らした。
「期待外れで悪かったな。いつも同じじゃ飽きるだろ。欲張りな宿主さまを満足させるために、これでも考えてんだぜ」
「別に期待してたわけじゃ……」
「じゃあ、風呂で『比べっこ』するかァ?」
不躾な視線が無防備な獏良の下半身に注がれる。
「バカッ!」
「お前がそこまで気にしてたとはなあ!」
腹を抱えて哄笑するバクラを獏良はぽかぽかと猫の手で叩く。
行為の痕跡が残る身体のままで、二人はしばらくベッドの上で戯れていた。
場所を移した後も賑やかな声が止む気配はなく、緩やかに休日の午後は過ぎていく。
とても平和なある日の出来事だった。

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このバクラは洗濯もちゃんとしてくれます。
慣れたら色々なことをするのもいいですよね。

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