ひと休憩
その日、バクラは疲労感に苛まれていた。
遊戯の動向を監視し、あからさまに敵意を向けている者がいれば本人に気づかれないように排除する。
人通りの少ない路地裏へ向かおうとしているなら先回りして危険がないか確認する。
童実野町は基本的には平和な町だが、チンピラ崩れの中途半端なガラの悪い連中は多い。
遊戯はそんな連中に絡まれやすく、バクラは人知れず苦労をしていた。
連日気を回しているのとさすがに疲れが溜まる。人間の肉体では活動に限界がある。
今日は外出はやめて自宅で休もうと心に決めた。
リビングにふらふらと辿り着いたところで、ソファに座っている人物と目が合った。
宿主である獏良だ。ソファの端にちょこんと座っている。
目が合ったものの互いに話しかけはしない。
バクラは獏良のいる方とは反対側のひじ掛けに頭を乗せて仰向けに横になった。
必然的に獏良へ足を向ける形になる。
大きめのソファなので二人の間にはちょうど一人分の空間。
「お疲れ?」
バクラの足元の方から様子を窺うような声がかかった。
「んー」
返事をするのも億劫で、バクラは天井を見上げたまま適当に相槌を打つ。
「じゃあ、こっちにおいでよ」
ぱんぱんと何かを叩く音が聞こえた。
寝転がったままで首だけ起こすと、獏良が膝を叩いていた。
獏良の言葉と仕草から導き出される答えは……。
「お前、どういうつもりだよ」
バクラは疑わしい目つきで獏良を見つめた。
「うーん。気まぐれかな?」
不躾な視線を物ともせずにけろりとした表情で獏良は答える。
「あと、疲れている人には親切にしなくちゃ」
バクラは上半身を起こして身体の向きを変え、
「ま、そう言うんだったら、ありがたく膝借りるぜ」
ごろりと膝の上に頭を乗せた。視界に獏良の顔が収まる。
獏良は視線を落とし、にっこりとバクラに向かって笑う。
思ったよりもずっと近い距離に、バクラは居心地の悪さを感じた。
身体を横にして、獏良の視線から避けるように背を向ける。
獏良の膝枕は程よく柔らかくてあたたかい。
無機物であるソファよりも人間の温もりを感じるこちらの方が、ずっと疲れが癒される気がした。
獏良の手がそっとバクラの頭を撫でた。
触れているかどうかの絶妙な力加減だ。
べったりと触られれば煩わしいし、あまり弱すぎてもかえって気になる。
獏良の手は何度もゆっくりと往復する。
「なんだよ」
バクラは同じ体勢のままで不機嫌そうに呟く。
「ごめん。つい。嫌だった?」
「いや……。続けろ」
獏良の口から微かに笑い声が漏れた。
優しい手つきでバクラの頭を撫で続ける。
やがて、獏良は鼻歌を口ずさみ始めた。
それはバクラに贈る子守歌のようだった。
**************
憧れのひざまくら!
ゆうべはお楽しみでしたね
バクラはベッドの中で目を覚ました。
身体を包み込むふかふかの感触が心地よい。
しかし、ベッドに入った記憶などまったくなかった。
昨晩の記憶はバクラの頭からすっぽりと抜け落ちていた。
額に手を置いて天井を見つめる。
夕飯を食べたことは覚えている。その後は……。
なぜか頭がずきずきと痛む。
寝返りを打ち、身体を横向きにしたところで、
「おはよう」
鼻と鼻が擦れ合うほどの至近距離で獏良に微笑まれた。
ベッドの隣にいたのだ。
「うえッ!」
可愛い。とても可愛いのだが、まさか同じベッドで寝ていたとは思わず、バクラは酷く狼狽した。
獏良とベッドを共にして朝になったら隣で微笑んでいるとは、バクラにとって夢のような状況だ。いや、夢なのかもしれない。
バクラはぎゅうっと頬を抓ってみた。痛い。どうやら、めでたく現実らしい。
「どうしたの?」
唇を押さえてくすくすと笑う獏良の姿は、バクラの目には普段より愛らしく映った。
これほど獏良が友好的な態度を示すのは珍しい。
昨晩、余程いい事があったに違いなかった。そのいい事がどうしても思い出せない。
「昨日なにが……」
バクラが尋ねかけたところで、
「昨日は凄かったねえ」
獏良が言葉を被せてにこにこと頷いた。
凄かった?何が?と、すぐに問い返したかったが、次の言葉でそれは永久に飲み込まれた。
「あんなに激しく攻められて……。凄かった……」
頬を赤く染めた獏良が熱っぽく見つめてきた。
――訊けねーッ!!
正反対にバクラの顔は青くなる。
何がどうしたのかはまったく分からないが、これほど盛り上がっている獏良に、「実は昨日のことをまったく覚えてません」などと言えば、絶対に失望させてしまうだろう。
せっかく珍しく上機嫌に話しかけられているのに不機嫌にはさせたくない。
なにより、その会話の内容から想像できることは一つしかない。
「そ、そんなに、よかった……か?」
「うん!僕からお願いしたのに、あんなにしてもらえるなんて思わなかったよ」
獏良はうっとりと夢見るような視線をバクラに送る。周辺には鮮やかに咲き誇る花々が目に見えるようだった。
――好感度上げすぎだぞ、昨日のオレッ!つーか、覚えてないのが悔しすぎる!
「あんなにって、どんくらいだったけか?」
バクラは顔を引きつらせながらも会話を続けることを試みる。
昨日あったことを少しでも獏良から引き出したい。辻褄が合わないことを言ってしまう前に。
「うーん、5回?あ、でも、途中……めちゃくちゃになって……ワケが分からなくなっちゃって、仕切り直したから、4回か」
――昨日のオレ、すげェ!!
「……それで満足したのか?」
「うん。でも、あんなに早くさされると、僕いっぱいいっぱいになっちゃうよ。加減しないでって言ったのは僕なんだけど」
その状況を想像するだけで、バクラの口からご馳走様と零れ落ちてしまいそうだった。
勝手に良からぬ想像が次から次へと頭に浮かんでしまう。
「自分でお願いしておきながら、何度も抜かれちゃって。情けないよ、僕」
獏良は申し訳なさそうに目を伏せた。
「お前も頑張った方だと思うぜ」
バクラがそんな獏良の肩に手を置き、優しく声をかけてやると、
「そう?次までに勉強しておくね」
少しだけ表情が緩む。
健気な様子にくらくらと眩暈すら感じた。
昨晩のことを覚えてないことが悔やまれる。
「昨日は楽しかったね」
バクラの苦悩には気づかずに、獏良は今朝一番の笑顔を見せた。
「――将棋っ!」
それまでゆったりと流れていた空気が固まる。
「将……棋……?」
「あんなに続けて指したら疲れるよね。ごめんね。あんなにせがんで。最後の方、フラフラしてたもの」
バクラはいまだズキズキと痛む頭を押さえた。
どうやら頭痛の原因は脳疲労らしい。
今はそれよりも精神的疲労の方が大きかった。
「でも、本当に強くてビックリした!」
「ああ、そうか……。ありがとよ……」
目を輝かす獏良に対し、バクラは遠い目になっていた。
**************
朝チュンではありませんでした。
嫉妬
バクラには日課があった。
「今日はあいつの様子はどうだった?」
学校が終わってから、獏良に「今日の遊戯の様子」を尋ねるのだ。
千年パズルの所有者である遊戯は常に監視しておきたい相手。
遊戯に危害を加えようとする存在がいれば早めに排除する。
本当なら自分で目を光らせておきたいところなのだが、もう一人の遊戯に気配を悟られては困るのだ。
だから遊戯の友人である宿主の獏良から、日々の遊戯の様子を聞き出すしかない。
バクラが怪しいと思ったことは、根掘り葉掘り獏良に畳みかけていた。
「今日は……いつものハンバーガー店に行って解散しただけだから、特に何もないけど……」
獏良は制服から部屋着に着替えつつ、素っ気なく答えた。
毎日同じことを繰り返しているのでいい加減にうんざりしていた。
それに……。
「デュエル大会に行くとか言ってたろ」
バクラのチェックは厳しい。
記憶力も分析力も高く、適当な答えでは納得しない。
獏良はジーンズの前を留めつつ、
「ん?あー……、主催者側の都合で来月に延期になった。会場の予約で揉めたんだっけ……?」
ここ最近の出来事について思い起こす。
「フーン」
バクラは腕組をして何事か考え込んでいるようだった。
それを横目に見つつ、獏良はこっそりと顔をしかめた。
いつも自宅に帰れば、遊戯はどうしたこうしたと、問い詰められてはいい気分はしない。
まるで目の前にいるはずの自分が無視されているかのようにも感じていた。
結局、遊戯の動向を知る道具でしかないのかもしれない。
友人のことを告げ口しているみたいで罪悪感もあった。
自分という繋ぎがいなくなれば遊戯に直接手を出すかもしれないと思うと、続けるしかないのだ。
「どうした?」
黙考が終わったバクラは、すぐに獏良の様子に気づいた。
まじまじと顔を覗き込んでくる。
今さら気にされても、獏良にとってはますます機嫌を損ねる材料にしかならない。
「ねえ、もうやめない?」
「は?」
獏良は沈んだ顔でとうとう話を切り出した。
「こうやって遊戯くんのことを僕に訊くの。知りたいなら自分ですればいいじゃない。その方が早いでしょ」
それに対し、バクラは眉を吊り上げて反論した。
「オレが表に出たら、あの過保護な王様が大騒ぎすンだろ。遊戯のことを守ってやってんだからいいだろうが」
その言葉に獏良の胸が締めつけられる。
バクラの口から出る「遊戯」という名前を聞くと、息苦しくなる。
右手でもう片方の腕を掴んだ。肌に食い込むほど力が指先にこもる。
「なんと言われても、もう嫌なんだよ……」
獏良の心はぐちゃぐちゃだった。
その感情を言葉で表すとすれば、「嫉妬」。
自分の身体に勝手に居座っておきながら、口を開けば「遊戯」「遊戯」。
しかも、遊戯は友人だ。
相容れないはずの相手から気にかけてもらえないことに機嫌を損ね、かけがえのない友人に対して嫉妬心を抱くなど頭がおかしくなりそうだった。
「宿主……」 顔を伏せる獏良に対し、バクラが口を開いた。
「ヤキモチか?」
その単語が聞こえた途端、火がついたように獏良の色白の顔が真っ赤になった。
「なっ……ちがうよ……!」
慌てて否定するも、態度で肯定をしてしまっているのも同じ。
にやにやとバクラが獏良の周りを歩き、繁々と観察し始める。
「珍しいモン見たなァ」
「違うったら!」
もはや自分で否定しても、白々しいことは分かっていた。
小さな呻き声が獏良の口から漏れる。
「そういうことは早く言えよォ!」
バクラは後ろから勢いよく獏良を抱きすくめた。
獏良の長い髪から覗く耳や首まで真っ赤に染まっている。
その首筋に音を立ててキスを数回してやった。
「んっ!」
耳に近い場所では音がはっきりと聞こえ、獏良は身悶えた。
自分の行動がバクラをすっかりと調子づかせてしまったことに今さらながら気づく。後悔してももう遅い。
バクラの腕は前に回され、逃さないように獏良の腹と胸を押さえている。
「ほら、言ってみろよ。『あんまり遊戯くんのことを気にしすぎるから、ヤキモチ焼いちゃいました』って」
獏良が腕の中でもがいていると、後ろから絡みつくような声で囁かれた。
「……誰がっ!」
「言わないと、このままイタズラするぞ」
それでは言おうが言うまいがバクラを喜ばせるだけだ。
指摘は当たっていても思うままに動くのは癪だった。
その上ただのイタズラで済むはずがない。
この調子では間違いなく押し倒される。絶対にそれだけは避けなければならない。
「……僕がヤキモチ焼いて嬉しいの?」
抵抗するのをやめ、糸のようなか細い声で言った。
「お、おう……」
急に獏良が動かなくなったことでバクラの力が緩む。
普段は抵抗されてばかりだからだ。
「じゃあ、イタズラなんかよりキスを頂戴」
獏良は頭を傾け、できる限り熱っぽい視線を送る。
後半の内容がバクラにとっては衝撃的で、前半部分は耳に入らなかった。
『キスを頂戴』
――宿主がオレに!自ら!キスを!求めているッ!!
あからさまなイタズラからの逃げだったのだが、獏良の予想よりも大きい効果を得られた。
涎を垂らさんばかりのバクラの締まりのない表情に少し引きつつも顔に出さないように耐える。
「はやく」
バクラの目には唇の動きが艶かしく映った。たまらない。はやく吸いつきたい。
はやる気持ちを抑え、ゆっくりと唇を近づけていった。
柔らかい感触が唇に伝わる。
一度離し、もう一度深く味わおうとしたところで、二人の間に獏良の人差し指が差し込まれた。
「もう終わり。続きは今度ね」
ちょんとバクラの唇がつつかれる。
「ずりぃ……」
絶妙な焦らし具合だった。
キスをした後で可愛く焦らされたら、大人しく引き下がるしかない。
獏良は内心では「セーフ!イヤらしいことをされなくて良かった!」と、ホッとしていた。
「まあ、レアな宿主のヤキモチを焼く姿が見られたから良しとするか……」
完全にバクラの興味はイタズラから逸れたらしい。力強くこくこくと頷いて賛同の意を示した。
「もう余計なヤキモチなんて焼くんじゃねえぞ。お前がオレ様の一番大切なモンなのは変わりねえンだから」
バクラは獏良の額を軽く小突く。
「お前のことは、風呂のとき左腕から洗うことも、便所の間隔も、今日の下着の色が水色だっていうのも、ちゃんと把握してる」
「え゛っ?」
誇らしげにふんぞり返るバクラを前に、獏良は自分の耳を疑った。
――お風呂??なんで?トイレの間隔を計っているの?というか、下着の色?!
「ばっ……」
蒼褪めた獏良の顔がみるみるうちに赤くなり、
「ばかーーーっ!!」
窓を震わせるほどの叫び声が上がった。
**************
いつもバクラは宿主様のことを気にしてますよ。
催眠術
ちょっとした遊びのつもりだった。
「お前はだんだん眠くなる。身体の力がどんどん抜けていく」
先ほどまで見ていたテレビの真似事。
獏良はリビングのソファに横になり、バクラはその隣でぶつぶつとテレビで聞いた通りの言葉を獏良にかけていた。
「肩の力が抜けて、肩から腕の力も、腕から手の先の力も抜けていく」
こんな子供騙しの方法で催眠術なんてかかるわけがない。二人ともそう思っていた。
「次に目を開けたときは……」
そこでバクラの言葉が詰まった。
簡単な気持ちでやってみようと始めたことだが、何の催眠をかけるのか考えていなかった。
まあ、かかるはずはないので適当でいいだろう。
バクラは再び獏良に手をかざし、
「次に目を開けたときは、オレのことが好きで好きでたまらなくなる」
ここぞとばかりに自分の願望をぶつけることにした。
「3つ数えたらお前は目を覚ます。3、2、1……」
ぱちんとバクラが手を叩くと、獏良はゆっくりと目を開いた。
見たところ、獏良に変わった様子はない。
「だから言ったろ。そう簡単にかかるわきゃねえって」
獏良はむくりと上半身を起こし、床に足をついた。
そして、バクラを見上げ、
「なんか……どうしよう……僕、君のこと好きで好きでたまらないよ」
もじもじと身体を揺らした。
「ふあっ?!」
あり得ない光景にバクラが硬直する。
「君のことを見ているとここが熱くなる」
獏良は両手で苦しげに胸を押さえた。
紅潮した頬といい、潤む瞳といい、とても演技には見えない。
獏良がかかり易い体質だったのか、バクラがかけるのが上手かったのかは分からない。
とにかく催眠術がかかってしまった。あっさりと。
「……好きっ」
熱烈な愛の告白を前にバクラの脳内で教会の鐘の音が鳴り響いた。
「僥幸……!」
「僕、もう我慢できない!」
獏良はとうとうソファから立ち上がり、勢いよくバクラに抱きつこうとした。
しかし、するりとバクラの方が避けてしまう。
盛大に空振りをした獏良はたたらを踏んで、批難の視線をバクラに向けた。
「なんで逃げるの?僕のこと嫌いなの?」
「いや!めちゃくちゃ愛してます!ずっと前から好きでした!」
「なら、なんで……」
じんわりと獏良の目に涙が浮かぶ。
バクラにしても、このまたとない機会なのだから熱い抱擁を交わしたかった。
許されるのなら全身にキスをさせて欲しい。
しかし、いざ好意を向けてくる獏良を目の前にすると……。
心臓が破裂しそうなほど照れ臭かった。
あまりの照れ臭さに、気持ちとは反対に身体が勝手に避けてしまうのだ。
「泣くなよ」
バクラの額からだらだらと汗が流れ落ちる。
「なら、抱きしめて」
ずいと獏良が一歩前へ進む。
バクラが一歩交代する。
「今晩ずっと」
詰め寄られる度に、バクラは後退っていった。
「たくさんキスして」
下がっていくうちに、腰にテーブルの縁が当たる。もう逃げ場はない。
バクラを逃がさないように、獏良がテーブルの上に両手をついて囲いを作る。
そして、ぐいぐいと上半身を押しつける。
バクラはオーバーヒート寸前だった。
「お風呂に一緒に入ろ?」
最後のお願いでプツリとバクラの中で何かが切れた。
「上等じゃねえかぁあああ!こうなったら身体の隅から隅まで洗ってやるからなぁああ!」
背中に手を回し、獏良を乱暴に掻き抱いた。
「ひゃっ!」
それでも獏良の口から発せらせるのは嬉しそうな声。
「泣いて謝っても、もう遅いからな!覚悟しろよォ!」
バクラに後先のことを考えている余裕はなかった。
目先の欲望を満たすことで精一杯だった。
「嬉しい……」
獏良の顔がますます赤くなる。まるで茹蛸だった。
「嬉しすぎて、目が回ってきた……」
頭から蒸気を発し、くてんと身体から力が抜けて動かなくなる。
「ここで?!ここでかよぉおおッー!!」
獏良を抱きしめたまま、バクラは天に向かって吠えた。
翌朝、獏良が身を起こすと、バクラがベッド端に背を向けて座っていた。
「おはよー」
振り向いたバクラの目の下にはクマができていた。
「おう……」
能天気な挨拶に覇気のない声で返事をする。
昨夜のことがあまりにも刺激的だったために一睡もできていなかった。
「昨日のことなんだけど……」
「あー、はいはい。覚えてないんだろ?催眠術に盛大にかかってたからな」
バクラは最後まで聞かずに自分から推測できる先の言葉を言ってしまった。
その方が幾分か虚しさを抑えられると思ったのだ。
「違うんだ……」
照れ臭そうに頬を掻きながら、獏良は改めてその先の言葉を紡いだ。
「『愛してる。ずっと前から好きだった』って言われて嬉しかった」
「……えっ?!」
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ウルトラハッピーエンド。たまには言い寄る了くんを書きたかったのです。