ばかうけ

からんころん
小気味好い音がする。
少し寂しく涼しげな音だ。
それを楽しむように獏良は手の中で四角い缶を弄ぶ。
「何だソレは?」
音に興味をそそられたのか、珍しくバクラが声を掛けてきた。
特に驚いた様子もなく、獏良は目線だけをバクラの方に向けた。
「やっぱり気になる?」
くすくすと笑いが零れる。
なんだか馬鹿にされているようで、バクラは面白くない。
獏良は手の中の缶を顔の辺りまで上げ、素早く振った。

からんからん

「結構興味を引くんだよね。特に小さい子の」
缶の上には小さく丸いフタが付いている。
それを外すと、甘い香りが漂う。
獏良は片手で小さく振りながら、もう片方の手に中の物を取り出そうとする。
「な、に、が、出るかなー」
手の平に小さいオレンジ色の粒が転がり出た。
それをバクラに見えるように手を差し出す。
じっとその塊をバクラが見つめる。
「ドロップ。飴だよ飴」
獏良は自分の口の中に放り込んで証拠を見せた。
「つまんねぇもん勿体付けてんじゃねえ」
不満げにバクラが鼻を鳴らした。
「結構コレ楽しめるんだよ。宝石みたいな形してて綺麗だから」
ドロップが宝石なら、入れ物の缶は宝石箱。
小さい頃はどきどきしながら缶を振ったものだった。
「今度はお前の番ね」
バクラの返事も聞かずにもう一度缶を傾けた。
手の平に踊り出したのは、白く丸いドロップだった。
興味はないと示したものの、バクラはちらりと獏良の手の平に視線を送った。
「お、ハズレー」
「ちょっと待て、当たりとか外れとかあるのか、コレ?」
いきなりハズレと言われたら少しだけ気分が悪くなってしまう。
バクラの目には先程のドロップと同じように見える。
「これはハッカ味なんだ。スースーするからハズレなの」
手の平で転がしながら獏良は答えた。
小さい子供はハッカの味が苦手なので、どうしてもハッカだけが残ってしまう。
だから、白色のドロップはハズレのイメージが強いのだ。
「妹がね。スースーするから嫌だってハッカが出ても食べないの。勿体ないから、出る度に僕が食べて……。結局僕はハッカばっかり食べてたんだ」
そう言いながら獏良は、ドロップを窓から差し込む光に照らした。
きらきらと輝くそれは本物の宝石のよう。
「もうハッカだけ食べなくていいんだよね」
自分で好きな味を選んで、好きなだけ食べて良いはずなのに少し味気ない。

からん

小さくドロップの缶が鳴った。
「それ、オレんだろ?オレ様によこせ」
バクラがぶっきらぼうに指でドロップを差した。
「え?」
「食ってやるって言ってんだろ」
目をぱちくりと瞬いて、バクラのことを見つめたが、やがて困ったように笑った。
「スースーするよ」
「別にオレ様に苦手なモンはねえ」
「実際に食べるの僕なんだけど」
「細けぇことは気にするな」
ぽいっと獏良は口の中に白のドロップを投げ入れた。
懐かしい味が広がる。
バクラもそれを味わっているようだった。
「次は当てる」
「どうかなぁ」
からんからん
ドロップの缶が鳴る。
少し優しく温かな音だった。

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勿論サク●ドロップス。
8種類入ってるそうです。
宝石―盗賊さん、白ドロップ―ばくら色で良いと思いまして。
秋田犬はハッカ味好きですよ。

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