ばかうけ

線路は続くよどこまでも
ほくほくほく
「なぁ、何処まで行くんだ、宿主様?」
ほくほくほく
「んー、行けるとこまで」
延々と平地に敷かれたレールの上をゆっくりと歩み続ける姿が一つ。
そのレールは地平線の向こうまでも、終わりなく続いているようだった。
何処まで続いているかは誰も知らない。
今その上を歩いている少年も。
「行けるとこまでと言ってもなぁ」
何処からか聞こえるもう一つの声が、呆れたように呟く。
「お前の言うようにずっと歩き続けたとしても、元の場所に戻るだけじゃねぇの?」
ほくほくほく
相変わらず少年は自分の歩調を乱していない。
「あー、そうかもね。でも、違うかもしれないだろ」
「違わねぇよ」
「だって、まだ行ってないじゃないか」
「それでも、だ」
もう一つの声の主張を聞き入れるつもりは毛頭ないらしい。
遠く見えない前方を見据えたままだ。
ほくほくほく
「バーカ」
やがて諦めたらしく、しょうがねぇなとどこまでも優しく温かい声が聞こえた。
「ふふふ。僕は行きたいんだ、向こうへ」
「向こう?」
「うん、世界の果てまで」
「へぇ、ならお前が満足するまで付き合ってやるよ」
「ありがとう」
少年は見えない終点に向かって歩み続ける。
終わりはあるのか、ないのか。
世界の果てを二人で見たいと、そう思った。

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線路を見ながら考えました。
微妙にファンタジー。

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