「だからさ、バランスが重要なんだよ」
「バランスねえ……」
「いいかい、ゲームマスターが難易度を上げることは簡単に出来るけど、勝つことばかり重要視しちゃだめなんだ。
プレイヤーに遊んでもらうことも考えなきゃ。フェアにいかなきゃね」
宿主が人差し指を振ってご高説を垂れる。
モンスターワールドと呼ばれるボードゲームのこととなると、多弁になるのが宿主のくせだ。
オレは適当に相槌を打って聞き流していた。
「もう聞いてる?!」
宿主はむうっと頬を膨らまし、オレの顔を覗き込んできた。
普段は大人しい部類に入る宿主も、ゲームのことになると夢中になる。
「へえへえ、聞いてますよ」
特にMWは宿主にとって思い入れのあるゲームだから遊び方も熟知している。
だが、今までオレが見たところ、勝ちに拘っているところは見たことがなかった。
むしろ、負けてにこにこしている方が多い。
宿主からすれば、楽しく遊んでもらえればいいのだそうだ。
全く変わった趣味をしてると思う。
まあ確かに、さっき宿主が言っていた「ちょうどいいバランス」は設定するのは難しい。
相手を圧倒して負かしてもダメ、簡単に勝たせてもダメだ。
それが一番面倒臭ェし、難しいんじゃねえかとも思う。
ジオラマやフィギュアを自分で作る宿主のことだから、シナリオやバランス調整も懲りたいのかもしれない。
まさに、GM向きの性格なんだろう。
オレはどちらかというと、相手をゲーム上で罠に嵌める方が面白いけどな。
「それがGMの醍醐味ってもんなんだよ」
前のめりになって宿主が熱く語る。
一つの世界を一人で作り上げてしまう宿主の腕は称賛に値する。
その緻密な世界は、まるで現実世界そのものだ。
こんなヤツ、他に探しているか?
目をキラキラと輝かせて話を続ける宿主をオレはじっと眺めていた。
こんなふうに夢中になっている時の宿主は、見ているだけで面白い。
はっきり言って、話なんざ右から左だ。
表情がころころ変わるし、よく笑う。
いくら見ていて飽きねェ。
だから、オレは話の続きを促す。
「で?」
そうすると、宿主はうずうずしながら、嬉しさが滲み出ている表情をする。
ちょっとガキくせぇが可愛いもんだな、我が宿主様は。
「うん!あのさ――」
もっと見せてくれよ、その顔を。
ちっぽけな世界を何より大切にする宿主。
それ以外のことなんて見向きもしねェんだろうなァ。
だから、二人で遊ぼうぜ。この小さな世界で。
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宿主様自慢。
やっぱり、この二人はTRPGのイメージが強いです。
そして、GM口調のバクラはとても好き。